「すみません、るりちゃん今別のお客様に当たってて」
「えっ、そうですか…」
ならいる意味はない。今日は帰ろう、そう思っていたけど店側は俺が「るりを指名しに来た性欲発散の為の客」と誤認している様で、「今日は別の子でご容赦下さい。」と他の女と部屋を割り当てられた。
「今日はよろしくお願いしますね」と俺より若干年下らしい女がコスプレ衣装を着て部屋へと入ってきた。
「あの…悪いんだけど今日はもう帰ろうかと」
「そんなにるりさんがいいんですか?人気ですもんね、でも私も頑張りますから」
女は俺の上に跨り首筋や胸元にリップサービスをしてくる。慣れた手つきで俺のジャージをゆっくりと脱がしていく。
−−−−−−−
ガチャ、と担当の女と部屋を出ると丁度店の廊下を歩いていたるりとその客にばったり鉢合わせになった。るりは驚いた様子で「おそま…え、一松…?」と小さく呟いた。何てタイミングだろう。もしかしたらるりは勘違いをするんじゃないか。ちゃんと説明すれば分かってくれるだろうか。店を出てるりを呼び止めた。
「るり、あの」
「どうだった?」
「………」
「一松、お店初めてでしょ?もう私なんか相手しなくて良いんじゃない?私達元々付き合ってないんだし。一松がお店来ようが誰とやろうが私には関係無いことだもんね。私も一松に言われた通りおそ松くんと会ってくるよ。…じゃあね。」
「…るりっ、」
俺の声も虚しく、るりは店へと戻って行った。