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勇気を出してるりとデートというものをしてみよう、と声をかけた。まあデートしようとか言った訳じゃなく、「出かけない?」と言っただけで、しかもプランも何にも計画してないから果たしてこれがデートと呼べるものなのかも分からないけど。デートなんてしたことないし。るりは少し驚いた様子だけど何だか出かけることに嬉しそうにしていた。本当にすっげー緊張したけど、心臓が破裂して死ぬんじゃないかってくらい緊張したけど、黙って隣を歩くるりの手を握った。るりは驚いて俺を見ているけど、恥ずかしくて目線なんか合わせられる訳がない。嫌だったかな…気持ち悪いかな俺…と思っていたら、るりは弱々しく握り返してくれた。それだけで今日誘って良かったと思えた。乙女かよ。

るりが行きたいと言うカフェへ来てみたけど、そのカフェはお洒落で…今日はジャージじゃないけど明らかに俺浮いてそうだし、一緒にいて恥ずかしくないかなぁ。トド松だったら違和感無いんだろうけど。席に座って真向かいのるりを見るけど、彼女は目の前のチーズケーキに夢中だった。一口食べると「んん〜!」と目を輝かせてうっとりとしている。

「はい、」

「え」

「あーん」

「…………」

あんまり甘ったるいものって好きじゃないんだけど、るりにチーズケーキの乗ったフォークを顔の前に差し出されたら何でだろう食べたくなった。数秒おいて黙って食べたら美味かった。チーズケーキってこんなに美味いもんだっけ。あ、ここの絶品だからか。いや、それともるりが食べさせてくれ…いや、いやいや何言ってんだ俺。どんだけ恋愛脳?気持ち悪いだろ俺!


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