初めてるりとセックスをしてから、俺の気持ちは分かりやすい程に変わってしまった。あれから何度かるりのアパートへ行ったけど、その度にセックスをしている。もう前みたいにお互いがお互いを気持ちよくさせて終わりではない。セックスの気持ちよさを知ってしまった。るりと体を重ねることの心地よさを知ってしまってから、もう後戻りなんか出来ない。したくない。
「るり」
「ん?」
「あの、さ…」
もう、金渡したくないんだ。いや、払えないとか、そういうのじゃない。いやいや、こういう関係を終わらせたい訳でもない。ただ、客と商売の関係みたいな関係を終わらせたいってこと。もう金絡みでるりと会ったりヤったりしたくない。…好きだから。
そう伝えたいのに。
「あー…いや、何でもない…これ、今日の分ね、」
「うん?変な一松」
そう言えたなら、格好つけられたならいいのに。だけどお金を払わないと言ったらもうるりは会ってくれなくなるんじゃないか。そんな不安が俺の言葉を邪魔した。るりは、俺がそんなことを言ったらどんな顔をするんだろう。俺が好きだと言ったらどんな反応をするんだろう。一番は、笑って喜んでくれたら…「私も」って言ってくれたなら。だけどその一歩が踏み出せなくて、その一言でるりとの関係が終わったら嫌だなんて。女々しくなってしまう程に、るりを好きになってしまった。