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愛なんか、何の役にも立たない。いらない。欲しくない。そう思い始めたのはいつだったか。親なんかいないも同然で。父親の繰り返す浮気のせいで両親は離婚し、親権が母親に渡り一緒に暮らしてはいたけれど、男を取っかえ引っ変えする母親にうんざりしていた。家に帰ると母親はおらず、置いてあるのはお金だけ。きっと今日もどこかの男と一緒なんだろう。
初めは愛されたくて必死だった。いい子にしていれば授業参観来てくれる?いい子にしていればお洋服買ってくれる?いい子にしていれば…。それでも、いくらいい子でいたってその御褒美は何にもなくて。本当は授業参観だって来てくれなくたっていい、新しい流行りの洋服だっていらない。ただ、抱きしめて愛して欲しかった。私が必要なんだと、言ってくれればそれで良かった。

「流れ星にお願いごとしたら、願いが叶うんだって」

友達なのかテレビなのか、何で知ったのかは忘れたけどそんなファンタジーな話を聞いた私はそれから毎日狭い窓から夜空を見上げては流れ星を待ち続けた。

「私を愛してくれるひとが、できますように」

そうお願いしたくて。
成人過ぎた今でも、たまに何となく夜空を見上げる時がある。流れ星の願いごとなんか、そんなのもう信じてないけど。でも、私は…今流れ星に願いをかけるとしたら何を願うのだろう。隣で寝ている一松の硬い髪をそっと撫でてみる。今夜は月明かりが綺麗な夜だった。


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