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他人に興味を持ったのは初めて。誰かといると落ち着くと思ったのも初めて。それが風俗の女なんて自分でも驚きだ。女の経験なんてないからよく分からないけど、るりは多分他の女とは違っていて。それは「俺にとっては」なのかもしれないけど。
一緒にいてだんだんとるりを知って、分かったことがある。
好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとハッキリしている。変に可愛こぶらない。くせに虫は泣きそうになる程大の苦手だったりする。甘い物が好き。夜家に行く前にアイスを買っていくと喜ぶ。匂いフェチなのか良く俺のパーカーの匂いを嗅いでくる。仕事で嫌なことがあると絶対に泣かない。けど一緒にお風呂に入った時だけ泣く。キスをすると「ん、」と漏れる吐息と声がエロい。耳が弱い。本人は知らないだろうけど足の付け根に黒子がある。

どんどんるりを知っていく度に嬉しくなる。こんなのは初めてだ。それなのにもっとるりを知りたくなる。俺は、もう既にるりに溺れ始めているのかもしれない。今ならまだ抜けられる?この沼から。これが叶わないって分かっているんだったら、今ならまだ。完全に溺れてしまう前に。

思考と行動はバラバラで、気が付けば携帯で「明日行く」とメールを送っていた。あ、これ戻れねえ。


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テーマ「人外ファンタジー」
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