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遊園地を出て地元へと帰ってきたあたし達は、帰り道の公園に寄って話をしていた。松野くんが「少し話したいから寄ってもいいかな?」と言ったからだ。すっかり陽が落ちた公園で二人でブランコに乗る。キィキィと揺れる音が何だか落ち着く。


「あーあ、やっぱり駄目だったかぁ…結構頑張ったんだけどね」


松野くんは無理をしたように明るく振る舞う。薄暗くて表情はよく見えないけど、声が、雰囲気が震えているようなそんな気がした。


「ひとつ、聞いてもいい?」

「ん?」

「一松兄さん、の…どこを好きになったの?」


その質問に、どんな意味がこめられているのかあたしには分からなかった。意味なんかなかったとしても、それを答えるのことが正しいのか分からなかった。答えに詰まったあたしに、松野くんは少し困ったように笑った。


「あ、大丈夫。これはけじめみたいなもんなんだ。吹っ切れる為にね!だから言ってくれて大丈夫。まあ、単純に僕よりもあんな兄のどこがいいのかってのが知りたいっていうのもあるんだけどね」


それを聞いて、少し躊躇をした後話し始めた。考えなんてうまく纏まってないけど、取り敢えず自分の思ってることを言おう。
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