03
昨日、何が起きたのかあまり覚えていない。 バイト帰りに松野くんに会って、声をかけて、公園でアイスを食べようってなって、いきなりキスをされて、それから…。兎に角嫌だと泣きながら抵抗したけど、男の子の力にはかなわなくてあたしのハジメテは呆気なく奪われた。初めての行為は、それはとても痛くて痛くて涙が止まらなかった。どうして急にこんなことをするのか分からなくて。ただ、行為中の松野くんは別人みたいに…悪魔みたいに笑っていた。気付けば半端に脱がされた服と何のか分からない色んな液体が体や服にこびり付いていて、視界はぼやけて松野くんが何を言ったのかもどんな顔をしていたのかも分からない。ぼろぼろなまま一人暮らしの部屋に辿り着いて、靴を履いたままベッドに倒れ込み泣いた。明日から松野くんとまた顔を合わせることになるの?こんな状況で?思い出しただけで身体が震える。

兎に角、この汚れた身体を洗い流したくてシャワーを浴びた。洗っても洗っても、汚れた身体は綺麗にはならない気がしてまた涙腺が緩んだ。


次の日、勇気を出してバイト先へ向かうと松野くんが休憩室にいて「あ、おはようございます!」と笑った。どうして…どうしてそんな、何事もなかったように話せるの?まるで昨日の出来事が夢だったかのような、松野くんの態度に怒りとか悲しみとか通り越して戸惑いを生んだ。

夢だったらどんなにいいか。
松野くん、松野くんが分からないよ。そんな優しい笑顔の松野くんが、昨日の悪魔みたいな松野くんと同一人物だったのか今でも信じられない。信じたくない、けど。震える手を握りしめ目線を逸らす。



「お…はよう…ざいます」



「あれ?百瀬さん元気ないね?」




ああ、吐き気がする。
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