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思いきってデートに誘ってみた。家に帰ってトド松に報告するとびっくりしていて、「一松兄さん、凄いじゃんっ!」と喜んでくれた。デートなんかまともにしたこともないからやり方なんて分からないくせに、余裕あるフリをして勢い余ってデートをしろなんて言ってしまった訳で。トド松は服装をコーディネートしてくれて、デートの時は何をしちゃダメだよだとか何をした方がいいんだよとか沢山言われたけどほぼ全て忘れてしまった。緊張してそんなルール覚えられる訳がない。

そわそわしながらるりを待つ。本当に来てくれるんだろうか。期待よりも不安の方が大きい。「お待たせ」と背後から待っていた声が聞こえて振り返ると、いつものバイト帰りの服装とは違う女の子らしいかわいいるりが立っていた。本当は褒め言葉の一つでも言ってやりたいけど、上手く言えない。おずおずと手を差しのべると、少し悩んだるりは俺の手をぎゅっと握ってくれた。初めて繋いだるりの手はすごく小さかった。手を繋いだだけでこんなに緊張するなんて、俺ださいな。

るりを猫カフェへ連れてくると、嬉しそうに猫を抱き上げて「かわいい」と笑った。今まで散々酷いことをしてきたから、一緒にいる時にるりが笑ったのは初めてでついその笑顔に見入ってしまう。思わず「かわいい」と口走ってしまったことに動揺が隠せない。「猫のことだから」なんて言わなくてもいい嘘をついた。何で素直になれないんだ。今はカラ松やトド松が羨ましく思う。
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