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一松からまさかの告白を受けて、抱き締められたあの日の夜。帰り際に言われた一言が「…デート、する?」だった。あたしが笑顔で頷く筈もなく、黙ったままでいると「いや、しろ」と何故か命令された。いや、そういうのって「して下さい」って言うもんじゃないの?!一松らしいと言えばらしいんだけど。

そして結局、今度の休みの日にデートをすることになった。あたしと一松がデート…何か気持ち悪いかもしれない…。取り敢えず詳しいことは何も知らされずに待ち合わせ場所と時間だけを伝えられた。

当日指定された場所へ行くと一松がもう既に待っていて、いつものようなパーカーとジャージではなくきちんとした服装だった。「お待たせ」と声をかけるとまるでロボットのようにギシギシと音を立てているかのように振り向いた。

「もしかして…緊張してる、の?」

「んなっ…わけないでしょ」


とは言っても額には汗をかいているし顔も少しだけ赤いし目線も泳いでいるし…一目で緊張丸分かりだ。もしかして、デートしたこととかないのかな…。あたし達セックスは何度もしているのに、こういうデートとかはした事がないから何だか複雑な気分。恋人未満なのに恋人以上。

一松は「ん」と控えめに手を出した。すぐに理解はしたけど、その手を掴むのに少しの間があく。迷いながらもゆっくりと差し出された手を握ると、赤い顔をより赤くして少し早足で歩き出した。その表情に何故か胸が騒がしくなる。

こうして、一松とあたしの不思議なデートの1日が始まった。
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