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久しぶりに、一松から連絡がきた。あたしが一松の頬を叩いて以来、連絡が来たのは初めてだった。「今日、家に行くから」といういつもの彼のシンプルなメッセージ。

またいつものように身体を重ねるのだろうか。気まずさを残しつつ夜になり、インターホンが鳴った。ドアを開けると一松が立っていて、何となくいつもと違う雰囲気に少し戸惑う。
何というか、いつもの一松は不機嫌だし怖い。酷いことをされてきたのだから当然であるけど、常に恐怖感を感じていた。だけど今日はそういった怖さもなく、寧ろ親に叱られた子供のようなバツの悪い顔をしていた。


「…今日は何?」

「…話がある」


付き合ってもいないのに別れ話をするカップルみたいだと心の中で冷笑してしまう。一松とテーブルを挟んで向き合って話をするなんて初めてだ。


「好き、だ」


思ってもいない言葉に下を向いていた顔を上げて一松を見た。は?え?今、なんて言ったの?


「…誰が」

「俺が」

「誰を」

「るりを」


一松は真っ直ぐとあたしを見てハッキリと答えた。まるでこれが冗談じゃないみたいに。本気だって言っているみたいに。


「ふざけんなって思うでしょ、当たり前だろうけど。…けど気付けば好きになってた、お前のこと」


「…そ、んなの…当たり前でしょ!?あんたがあたしを…好きって…今まで散々酷いことしてきたくせに…!あたしはあんたみたいな性犯罪者…嫌い、大っ嫌い」


ああもう、泣きたくなんかないのに瞳からはじわりと滲んできてしまう。何で、何でよ。そんなに切なそうな顔するの。泣きたいのは、泣いてるのはあたしの方なのに。
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