18
肌寒い空の下、ジャージのポケットに手を突っ込んだまま立ち止まった。るりに平手打ちをくらった頬が熱をもって痛む。本当はあんなこと言うつもりじゃなかった。

ここ最近自分の気持ちが分からなくて、もやもやして。最後に抱いたあの日から連絡もしていなかった。ただ、あいつに会いたいって思って、気付いたらるりが働いているカフェへ足を運んでいた。顔が見れればそれでいいやって、自分らしくもないこと思ったんだ。自分でも、なんだよ気持ちわりいなって思うよ。

それで丁度仕事終わりのあいつが店から出てきて、鉢合わせしそうになって咄嗟に隠れた。あれ以来気まずくて、どうしていいか分からない。何してんだ俺。帰ろう…歩きだそうとした時、あの男の常連客がるりの後ろをついて歩いているのを見かけた。そのまま帰るか迷ったけど、何故か嫌な予感がしてその後をつけた。

そうしたら、嫌な予感的中。ストーカー野郎はへらへらと笑いながらるりの手を掴んだ。その瞬間、頭がカッとなって気付けばそいつを殴っていた。殴った拳がズキズキと痛むけど、兎に角こいつを嬲り殺す勢いで殴る蹴ると暴行を続ける。

おまえ、こいつをどうするつもりだったんだよ。その汚たねえ手で何するつもりだったんだよ。るりを犯すつもりだったの?ふざけんなよ、こいつを犯していいのは俺だけなんだよ。白い肌も柔らかい髪もいやらしく感じやすい身体もせっけんの香りも全部、俺のなんだよ。

「やめて!」

るりが俺の背中に抱き着いて叫んだところで、はっと我に返った。冷静になって、自分が少し怖く感じる。俺、るりに依存してんだ。るりを散々好き勝手犯してきて、その時点で頭おかしいけど。危うくほんとに殺してやろうと思った自分って、まじで異常者だよな、と。
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