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もうあいつに犯されるようになって何度目になるだろうか。週に三回程呼び出されたり待ち伏せされたりするようになり、あたしの部屋やラブホ、時には場所など関係なく野外で体を重ねることもあった。初めの頃はその度に泣いていたけど、今では枯れて涙も出ない。
相変わらず吐き気がするくらい松野一松のことは嫌いだったけど、最早抵抗するのにも疲れてあまり反抗しなくなった。こういう下衆な奴は、抵抗しなくなればつまらないと感じたり飽きたりするんじゃないかと思ってたけど、残念ながらそんなことはないらしい。寧ろ征服感を感じられて楽しそうだ。気持ち悪い。

今日もバイト帰りに強制的にラブホテルへ連れて行かれ体を重ねている。何度も松野一松にセックスを強要させられて、分かったことがある。

まず、自分が満足するまでは何度だってヤる。性欲が強い一松に付き合うのはしんどい。バイト帰りは特に。

そして、終わったあとはすぐに寝るか帰る。あまりに毎回激しいので、あたしも寝てしまう(正確には気を失う時もある)と、あたしが寝た後一松も寝ると、一松が起きた時に再び犯されることもある。

それから、一松は情事中も事後であってもキスはしない。どうしてなのかよく分からないけど、舐めたり舐めさせたりするくせにキスだけは今までされたことはない。別にされたくもないけど。

最後に、松野一松は泣き顔や苦しい顔が好きだ。最初こそ泣いてばかりだったあたしを見て嬉しそうだった。けど、あまり泣かなくなったあたしに飽きることはなく…最近は生理的な涙や、快感に堪える顔、悔しそうな顔、苦しそうな顔をするとあの歪んだ笑みをする。本当に性格が歪んでいるなーと、頭の片隅で思う。


「はー、出るっ…!」

「ん、ふっ…んうっ!」


本日二度目の欲を吐き出した一松が上からのしかかってきた重みを感じながら、「…あんたなんか大ッ嫌い」と呟いた。セックスのあと、あたしはいつもこの言葉を呟く。
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