誘惑エロイズム


お酒って怖い。怖いんだよ。馬鹿騒ぎしたり記憶なくしたり、そんな経験も多少ならいいけど…成人してるんだからきちんと大人の飲み方をしようね、そう後悔している…。

事の始まりは、仕事終わりに久々に松野家に遊びに行ったことだった。いつもはうちに来たり遊びに行ったりしょっちゅうだったんだけど、高校卒業して働くようになってなかなか会えなくなっていた。と言っても半年ぶりくらいで、地元の友達ではそれでも「久しぶり」と言えてしまう関係なのだ。
スーパーで買い物をしてから、松野家の玄関を開ける。

「こーんばーんはー、百瀬ですがー!誰かいるかー?」

出てきたのは松野家四男の一松で、気怠そうに居間から顔を出した。

「あれ、るりじゃん。何」

「いやー、久しぶり!仕事早めに終わったからさ、遊びに来たよ。ほら、酒!」

言いながら靴を脱いで上がると、一松は寒そうに背中を丸めると「久しぶりって、半年くらいしか経ってないじゃん」と言った。そんな事はお構い無しに居間の炬燵へ足を突っ込む。どうやら暇人の他の兄弟はまだ誰も帰っていないようだ。いつ帰ってくるかも分からないので、一松と二人で飲むことになった。プシュ、と缶を空けてテレビを見ながら飲み始める。バラエティでやっているのは「芸能人の恋愛トーク」だった。すると珍しく一松が会話を切り出してきた。

「るりってさ」

「ん?」

「………彼氏いんの」

「えっ…いないけど、何急に」

今までそんな話はしたことなかったから、急に一松に質問をされて戸惑う。おそ松やトド松になら聞かれたことはあったけど、松野家の兄弟の中でも一番そういったことに興味無さそうな一松からは意外だった。
否定をした私に、一松は怪訝そうに近付くと私の近くですんすんと匂いを嗅ぎ始める。仕事上がりで汗臭かったかな…少し恥ずかしくなって身体を引く。

「…香水なんかつけてんの、そうやって会社のヤツに色目使ってるわけ」

「いっ…色目なんか使ってな…!」

「香水、似合わないよ」

「う、るさ…っ、んっ!」


一松は私の後ろに回り込んで、足の間に私を挟み込むようにして抱きしめてきた。強引に後ろを振り向かせられてキスをされる。

「いちま…っ、もしかして酔ってるのっ?」


「あー?酔ってない酔ってない」


思い出した、一松はお酒が弱いんだった…!まだ飲み始めて少しだけど一松の顔は赤く目はとろんとしている。こんな悪酔いするタイプだっけ…一松と二人きりで飲むのは初めてだったからこんな事は初めてだ。そんな事を考えている間にも一松の手が私の服の中へと侵入していく。酔っ払っている癖に、そして童貞の癖に手際が良く気付けばワイシャツはボタンが外されていて、シャツの下から胸をやわやわと揉まれていた。ブラジャーを下にずらされて硬くなった乳首が顔を出す。一松の冷たくて細い指がこりこりと弄ぶ。

「んっ、は…ぁっ!一松、やめて…!」

「何で?るりの身体はこんなに喜んでるよ」

さっきまで寒くて冷えてた身体が今は熱くて堪らない。一松のこと、そんな風に見たこと無かったのに。こんな行為をしているからなのか、背後にいる一松が私の首筋を噛み付くみたいにしゃぶりついていて、その色気にドキドキと心臓が煩くなる。私の髪の毛に顔を近付けると深呼吸をして「あー、これ、この匂い。るりの匂い、落ち着く。だから香水なんか要らないのに」なんて赤い顔して言うから、再びきゅんっとしてしまう。狡い。

私を炬燵から出すと四つん這いにさせて「ストッキング、破いていい?」とにんまり笑った。勿論「だめ」と言っても聞いてくれる訳もなく、ビリビリという音が聞こえた。私そんなにお酒は弱い方ではないのに、どうして抵抗出来ないんだろう。口ではやめてと言っているけど、体に力が入らない。一松のその瞳に見つめられて、囁かれると力が入らなくて言いなりになってしまう。

「うわっ、エロ」

嬉しそうな一松の声が足元の方で聞こえる。スーツのスカートを少し捲って撫で回すようにさわさわと触ってくる。

「んっ…一松、イヤラシイおっさんみたいな触り方しないでよ」

「んー?イヤラシイのはどっちかな?この身体の方がよっぽどイヤラシイでしょ、百瀬さん」

「…きもい」

「ああ?」

四つん這いだった身体をぐるんと反転させられて仰向けになったところで、足を大きく開かされて下着をずらされ思いきり舐められる。一松の舌は熱くてクリトリスをこねくり回すように執拗に弄られる。

「ひゃっ…!?やっ!やだやだ一松…!やめっ!」

一松の頭と肩を押しても全く動じなくて、ここで男女の力の差を実感させられる。筋肉だって無さそうなのに、男と女でこんなにも違うもんなんだ。
一松のゴツゴツした細い指が既に濡れたその蜜穴に挿入され、ナカで指を曲げられくちゅくちゅと掻き乱される。一松を見ると、涎なのか私の体液なのか分からないけど口の周りが汚れていた。
正常位の体勢にさせられ、一松が少しゴムが伸びたジャージとパンツを下ろし始めた。

「なっ…だ、だめだからね!」

一松の肩とお腹を精一杯押し返すけど、一松は動じない。そこへガラッと居間の襖が勢い良く開けられた。

「ただいまー」

「あれ、誰かお客さん?」

「今帰ったぜブラザー」

「るりちゃんの匂いがする!」

「えっ?!るりちゃん来てるの?」

何故こうもタイミングが悪いのか、松野家兄弟勢揃いで帰宅をした五人は居間にいる私と一松の霰もない姿を目撃すると固まった。

「おま…なにやって」

「なにって、見りゃ分かるじゃん、セックス。今からいれるとこ」

「セックス!?るりちゃんと!?いーなー!僕もやらせて!」

「俺のあとね」

折角だからみんなに見てもらいなよ、なんて小さく囁いて、一松の上に背面座位で座る形にさせられる。背後から膝の裏に手を回されて大きく開脚になり五人の前で恥部を晒してしまう。

「やっ…!やめて一松っ!」

「いれるよ」

大きくそそり立った一松のモノは、充分に濡れていた私のナカへいとも簡単に挿入していった。一松のモノが大きいのか、こういう行為が久しぶりのせいなのかまだ慣れなくて少し痛い。入りきった途端前後に揺らされじゅぼじゅぼと音が鳴る程律動を繰り返される。初めは苦しそうな声もだんだんと艶のある喘ぎ声と変わっていった。
こんな、みんなが見ている前で…堪らず顔を背けるけど、みんなの視線は私の揺れる胸や、一松との結合部分や私の顔や、五人分の視線が降り注ぐ。誰かと目が合う度に、みんなギラギラとした熱の篭った瞳をしていてそんな目で見られることによって私の体はどんどん火照っていくばかりだった。

「やっ…らぁ…!見なっいでぇ!あっ、ん!」

「大丈夫大丈夫、るりかわいいよ、すげーエロいよ」

「うわー!大洪水だー!るりちゃんぐっちゃぐちゃ!」

「すっごくエロい顔してるよるりちゃん…」

嫌なのに、駄目なのに…!
見られて興奮するなんて、そんなことないのに…!
否定ばかりしているこの頭も、激しく揺さぶられて快感で思考回路が崩壊していく。

「…見られて興奮してんの」

「あっ!ひゃ…んっ!」

乳首をぎゅっと摘まれて声が大きく洩れる。どこか楽しそうな一松はニヤニヤと笑っている。

「ばかぁ…!いぢまつのばかぁ…っ!んあっ、ああっ!」

「その馬鹿にあんあん喘がされて気持ちよくてだらしない顔してやらしい汁垂れ流してんのはどこの誰だよ、あー?見られて興奮してぎゅうぎゅうに締め付けてる癖にさァ」

先程よりも律動のスピードを早く、腰を打ち付けてくる。肌と肌のぶつかる音と、私の喘ぎ声と、複数の荒い息遣い。全てが耳について興奮が増していく。

「やっ、あー!おがしくなるっ、きもちっよくてぇ…!」

「はっ、おかしくなれよ…!みんなに見られながらイけよっ!ほらっ」

「んあああっ!ああ…!見ちゃらめっ!あー
イくっ!みんなの前…でっ、イっちゃ、ああっ、あーっ!」

激しく攻められ、びくびくんっと大きく痙攣すると快感が上り詰めていくみたいに全身に伝わっていく。寸前で抜かれて、一松の精液が勢い良くお腹にかかった。そして自分の恥部から透明の液体が少しだけ飛び散っていくのが見えた。

「うっわ…!潮噴いたすげえ!」

おそ松が興奮気味に叫んだのが遠くで聞こえた。一松のモノが抜かれたあとも、どくんどくんと脈打つみたいに下半身が疼いていた。


「はあ…最高だったよ、るり…」

耳元で囁く一松の熱い吐息混じりの声がぞくりと鳥肌を立たせた。
そのまま体力が尽きて寝てしまい、起きたのは松野家兄弟全員がトイレで自慰を済ませおわった頃だった。
みんなから最高だったと絶賛されたけど本当に本当に恥ずかしくて、もう一松と二人ではお酒は飲まないようにしようと強く誓ったのだった。

いや、もうこの兄弟もう全員危ないのかもしれない。

「またよろしく」と言った一松と、「次は俺もよろしく」と言ったおそ松達それぞれにグーパンチを御見舞してやった。
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