春、校門の桜の木が風に揺れてひらひらと花弁が舞う。どんな友達が出来てどんな高校生活になるのかなってドキドキわくわくして新品の上履きを履いた。もしかしたら彼氏なんて出来ちゃったりして、と気合を入れて髪を可愛くしたり、おろしたての綺麗な制服に身を包んだ自分の姿を何度も鏡でチェックしたり。 そんなるんるんな気分で曲がり角を曲がると同時に、誰かとぶつかり尻もちをついた。 「いっ…、」 「おっとすまない、怪我はな…」 転んだのは私だけで、相手は私に手を差し伸べてくれた。すいません、と顔をあげるとポロシャツに下はジャージで大人の男性だった。けれど彼の目線は私の顔ではなくそれよりも下を向いていて、何だろうと下を向くと私のスカートから下着が見えていたのだ。 「ひっ…!」 「あっ、いや別に見てな…!」 慌てて否定する彼の顔にビンタをし、廊下にばっちーん!という音が響いた。私の初々しい高校初日は、知らない男にパンツを見られビンタをするという忘れられない最悪な始まりになったのだった。 「見たでしょ」 「見てない」 「見たでしょ」 「……すいません、見ました」 |