「…いい加減にしてくれないか」 「………私、本気で先生の」 「本気とかそういうんじゃなくて、俺は教師でお前は生徒だ。前にも言ったがそれは何も変わらない。こういうことは、もう辞めてくれ」 「………」 先生はいつも私を恋愛として見てくれたことなんかなくて、それは教師と生徒だから当たり前なんだろうけど。それでも私は頑張ればもしかしたら変わるかも、とか卒業すれば見てくれるかも、なんて期待を捨てきれずにいた。 けど、今日の…今の先生の言葉はいつもとは少し違って、冷たく本当に迷惑だというのが伝わってくるそんな言い方だった。先生はまだ転んだ私の上に覆い被さっていて、体はこんなにも近いのに心は一切近付かない。寧ろ遠くなっていく。 先生がゆっくりと起き上がったそのタイミングで突然ガラッと体育倉庫の扉が空いた。 「わっ、えっ!先生…?何でこんなところに?!」 「あ、ああ…片付けをしていたんだが、気付かれず誰かに閉められちまってな」 次の授業で体育館を使うのであろう生徒が開けたそのドアから、私は何も言わずに立ち去った。後ろから視線を感じたけど、何も言われない、名前も呼ばれない。今日から帰るのも一人。必死に涙を堪えてひんやりとした体育館を後にした。 |