「お、何だどこに行ってたんだ?待ってたんだぞ」 何が待ってただよ、こっちはトイレ行ってただけの短時間で。しかも楽しくお喋りしてた癖に。 「何処って、トイレ行ってただけ」 自然と表情も声色も不機嫌なものになってしまう。あー、何嫉妬丸出ししてんの。 「そうか、それじゃ帰るか」 自分ばっかりがこんな態度で、相手が大人なんだって改めて実感した。私はすたすたと廊下を早足で歩き、後ろからカラ松先生と生徒達が「さよならー」「気を付けて帰れよー」と挨拶の声が聞こえる。 車に乗り込むとカラ松先生がシートベルトを締めながら静かに言葉を発した。 「何怒ってんだ?」 「怒ってなんか…」 「そんなに嫌だったか、送迎されるの」 「そっ、そうじゃ…ない」 車のエンジンをかけて少し冷えた車内に生暖かい空気が流れ始める。 「何でも先生に言ってみろ」 言っていいの?私の今の気持ち。 |