「別にいいのに」 「まあ、俺にも責任はあるからな」 照れくさくてつい意地を張ってしまう。自分でも可愛くないなって思いながらも助手席から窓の外の風景を眺める。さり気なく運転席の先生をちらりと見ると、程よく筋肉のついた腕がハンドルやギアを操作していて「大人の男の人」という雰囲気にドキッとした。ああ、わたしどうしちゃったんだろう。ドキドキしっぱなしだ。何だか学校までの距離が長く感じた。 「じゃあ帰りは教室で待っててくれ」 「はいはい」 「歩くの辛かったら無理するんじゃないぞ」 「はいはい」 「教室まで俺が運んでやろうか?勿論お姫様抱っこ…」 「それはもういいってば…っ!」 |