だんだん、惹かれていく

結局その日はなかなか眠りにつけず、目の下に薄らとクマを作って登校することになった。捻挫もそこまで酷いものではなかったので、足首にサポーターやテーピングで固めて何とかゆっくり歩ける程度ではある。登下校は家族が送迎をしてくれる筈だった、のに。朝玄関を開けたらいる筈の無い人物がそこに立っていた。それは昨晩眠れない原因だった人。

「おはよう、百瀬」

「えっ、おは…じゃなくって!なんでいるの」

まるで当然かのような顔でカラ松先生が家の前に車を停めて立っている。車の鍵を持って家から出てきた母親も「あら、先生!朝からどうしたんです?」と私と同じ反応をした。

「あ、いや…やっぱり自分の責任でもあるので…るりさんの足が治るまで送迎しようかと」

「そんな、この子が勝手に転んだだけって昨日も言ったのに…」

申し訳ないですだとか何とか大人の話が続いて、結局カラ松先生が暫くの間送迎をしてくれることになった。先生はただ、教師として責任を感じていたり生徒を心配しての行動なんだろうけど…私にとっては嬉しかった。この人はとても優しい人なんだと素直にそう思った。
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