「んっ、ふぁ…」

おそ松のキスよりも長く、咥内を掻き回されるように舌が絡まる。一松の舌が上顎を掠めると、何だか性感帯を弄られたような鳥肌がたつ感覚になってじわりと濡れてしまったのが分かった。キスで濡れたのは初めてだった。それ程、一松のキスは上手かった。

「い、一松って童貞じゃないの?」
「童貞ですけども」
「…あ、そう…」

恐らく女性経験はなく、キスも初めてなのだろう。恐ろしいと思った。それとも単に相性がいいのだろうか。

「俺、したことないから分かんないけど下手だったよね」
「え、いやいや!めっ…、そんなことないよ」
「…ならいいけど」

めっちゃ上手かったよ、と言いかけてやめた。何となく恥ずかしかったし、おそ松に申し訳ない気持ちになったから。別におそ松のキスがどうとかそういう訳ではない。だって今までの彼氏だって、キスで濡れたことなんてなかったのだから。

「ちょっとちょっと、俺をおいていかないでよ」

若干苛ついた言い方で後ろから抱きしめられた。まるで兄弟に母親をとられることに嫉妬している子供みたいだ。

「ほらほら、ベッドいこ」

おそ松に手を引かれ、ふかふかのベッドに押し倒された。ブラウスのボタンを外されて、黒の下着が露わになっていく。

「うわ、顔の割にえっろい下着つけてんね、おねーさん」
「どういうことよ」
「違う違う、褒めてんの!かわいい顔してエロい下着とか、最高にそそるじゃん」
「………ねえ、最後に言うけどさ。本当にもう戻れないんだよ、友達には。いいの?」
「…今更やめるって言うと思う?じゃなきゃ、俺もあいつらもここには来てないって」

おそ松の言葉に顔を横に振り向くと、一松とカラ松と目線が交わった。もう、居酒屋の時とは違う目をしていた。少なからず、覚悟を感じた。そうか、そしたら私も覚悟を決めよう。


おともだち


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