こうして私はおそ松と勝負することになり、単純に運試しということで二本の割り箸の先端に一本だけ赤い印を付けた。赤い印を引いた方の勝ち。それを先端が見えない状態でそれぞれ引く。

「せーのっ!」

結果はというと、勢いよく引かれた割り箸の先端、私の引いた割り箸には印は無かった。瞬間、おそ松は席を立ち上がり「いよっしゃー!!」と大声で雄叫びを上げたのだった。

「へっへーん、俺こういう時運強いんだよねー」

得意気に笑っているおそ松に、はいはいと適当に流す。そうやってへらへら笑っていればいい、沢山飲ませてやるんだから。私からすれば勝とうが負けようが関係ない。そう思っていたまでは良かった。おそ松の言葉に私の脳内は停止したのだ。

「じゃ、早速今からホテル行こうぜ」
「はっ…?」

本日二度目の間抜けな声、恐らくさっきよりもずっと間抜けだったと思う。えっ、まさか今日?そんな、そんなことあるかい。

「いや、えっと、ちょっと待って、えーっともう少し、ねっ?呑んでいこう」
「えー、もういいじゃん充分呑んだでしょうが」

確かに呑んだ、呑んだけれども。足りないんだよこれじゃ。今から行く話になっては計画が駄目になる。明らかにしどろもどろになった私の脳内はもう混乱し、ついにはプシューっと故障音が聞こえたような気がした。
私にも考えがある、なんて偉そうなことを言っておいてこの様はなんだ。私の頭から故障音と煙が出ているうちに、おそ松は居酒屋で会計をお願いしていた。

ああ、もう駄目だ。セフレの話なんかするんじゃなかった。勝負にものるんじゃなかった。多分おそ松は引き下がらなかっただろうけど、勝負を頑なに拒んでいればこうはならなかったはずだ。諦めの気持ちで四人でお会計を済ませ、おそ松が私の手を取り「じゃ!」とカラ松と一松に背を向けた。

「待って」

私のもう一方の手を掴んだ。振り向くと、私の繋がれた手のひらの先には一松がいた。もしかして止めてくれるの?そんな期待をせずにはいられなかった。だけど彼の言葉は私が思っていたようなものではなかった。


「やっぱり俺も行く」


勝負のゆくえ


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