もう2週間以上も残業が続いていた。体力的な限界だけじゃなく、上司のキツい当たりに精神的にも堪えていた。打ち合わせ通り順調だったのに、取引先が発注ミスをしただけではなくその確認もこちらが見逃していた為全てスケジュールを詰め込んでのやり直しになってしまった。今日も帰りは22時をすぎて、フラフラとした足取りで帰路についていた。アパートの前に着くと、入口付近に誰かが経っているのが見え、足を止める。

「あ、おかえり…」
「カラ松…?」

私の帰りを待っていたのはカラ松だった。まさかいるとは思ってもいなくて、すぐに言葉が出てこない。

「な、んで…どうしたの」
「最近、るりが忙しいみたいだったから心配で…こんな遅い時間に一人で帰ってくるなんて危ないだろう」

近付くと、鼻と耳を赤くしたカラ松の顔がよく見えた。今日は雪も降っていて寒いのに、いつから待っていたんだろう。

「ほら、頑張っているるりにケーキを買ってきたぞ」

ニッと笑うカラ松がケーキの入った箱を私に渡した。その手は感覚がないんじゃないかと思うくらいに冷たくなっていた。るりの好きなチーズケーキだ!プリンもあるぞ!なんて子供みたいに笑う彼の顔に、胸の奥がじわりと滲んでいく。その滲む感覚は目頭に溢れていく。

「…馬鹿、カラ松、馬鹿じゃん…」
「なっ、ええ!?」
「ばかやろうだぁ…」

一度溢れた涙腺は止まらなくなり、アパートの玄関前、夜も遅いのに声を震わせてただぼろぼろと泣いていた。

「な、なんで泣くんだ…!るり…!」



チーズケーキとプリン


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