微睡む夢は何を想う

「百瀬さんちの猫ちゃん、元気になりました?」
「えっ、るりちゃん猫飼ってるの?」
「あー…、えっと、まぁ…」
「見たーい!写真、ないの?」
「あ、拾ってきたばかりで………名前も、まだ…」

そうなんだー、今度写真見せてよ、と同期やら先輩が盛り上がる。…私を置いて。結局、昨日の夜の決意も虚しく【聞かなくちゃいけないこと、言わなくちゃいけないこと】は何一つ口に出来ず終わった。それどころか私の作ったパスタを大盛りで完食し、部屋の隅にあったゲーム機を見つけ「やりたい」と言い出し、二人でアクションゲームを二時間もやってしまった。
しかもそれだけではなく…その夜は、どちらがベッドでどちらがソファに寝るかという議論に決着がつけられずにいて。

「じゃあ…一緒に寝る…?」
「…はっ?」

彼は恥ずかしそうにそっぽを向きながら呟いた。私まで顔がかーっと赤くなるのが分かった。

「そっ、それは…だめ、だよ」
「何で?俺のこと、男って意識した?」
「そういう訳じゃないけど…!」
「一人暮らしの部屋に、男あげて意識してないってのもどうかと思うけど」
「……と、とにかく!だめなの!今日は私がベッドね!明日はソファで寝るから!」

むすっ、と不貞腐れ顔の彼を見ないふりしていそいそとベッドへ入る。少しして、彼が寝室に来た。黙ったまま、ベッドへ入り込んできたので驚いて起き上がる。

「…何もしないから」

そういう問題じゃないんだけど、でも彼の子犬のような顔を見たら「だめ」とは言えなかった。当たり前だけど、心臓がどくんどくんとなり続けなかなか眠れなかったのだ。

「百瀬さん、顔色悪いよ?」
「あっ、昨日あまり眠れなくて…大丈夫です」

(変だよね、「明日はソファで」って…まるで彼が明日もいるのが当然のような言い方をしてた)
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