攫われかけの純情

キスしていい、も嫌なら拒否しなよ、も狡い。いや、本当に狡いのは自分だ。ずっと我慢してきた。ずっと気付かないふりをしていた。そしてずっと期待をしていた。今キスをされてベッドに押し倒されて、ドキドキしている自分がいる。嬉しいと思っている。相手は自分より恐らくずっと年下で、いけないことなのに。名前も知らない子供なのに。

「…だって私たち、名前も知らない」
「今更それ、気にすんの」
「………」

まさにそうだった。本当は気にしてなんかいない。彼の方がずっと大人だった。後できっと後悔する…脳内で天使と悪魔のようにああではないこうではないと繰り返す。

「俺、今あんたを抱きたい」
「…っ」
「セックス、したい」

首筋を舐められながら、いつの間にか足の間に入り込んでいた彼の膝がぐっと私の恥部に押し付けられる。

「んあっ…!」

先程まで自分で慰めていたそこはもう出来上がっていて、彼のジャージに染みがついてしまうのではと不安になる。
耳にかかっていた髪を優しくかきあげられ、あらわになった耳を優しく舐められた。彼の熱い吐息と唾液の音がダイレクトに鼓膜に響いた。それがたまらなく興奮してしまい、ぞくぞくと全身の鳥肌がたってしまう。

「はっ…ふぁ…んっ!」
「ん、は…っ」

彼の声だけで、吐息だけで自分がどんどん濡れていくのが分かった。下半身がビクビクと震えていることに気がつくと、彼は嬉しそうに笑みをこぼした。その笑った顔が酷くいやらしく見えた。
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