大人ぶってももう遅い

コンビニまで飲み物を買いに行っていた。コンビニで見かけた商品に足を止める。あの人がよく好きで食べているうずらの卵の燻製。酒のつまみに食ってるのを何度か見たことがある。飲み物だけのはずが、嬉しそうに食べるあの人を想像したら口元が緩んだ。そろそろ帰ってくる頃かなとうずらの卵の燻製と炭酸ジュースをレジへ持って行った。

「これ、部屋の鍵ね」
深い事情も何も聞いてこない彼女が、当たり前かのように合鍵を俺に渡した。特に行くところもないから、部屋を出ることもない。だからこの鍵を使う機会なんてそうそうないのだが、自分に帰る場所があるような気にさせてくれた。
アパートへ着くと、部屋の電気がついてることが外から分かった。帰ってきたのかと玄関の扉を開けるが姿がない。トイレか、着替えているのだろうと思い冷蔵庫にジュースを入れた。

「はぁ…、はぁっ」

寝室から声が聴こえ耳をすます。どこか苦しそうな声。もしかしたらまた熱がぶり返してしまったのか。寝室のドアを、ノックもせずに開けた。開けてしまったのだ。

一つ言えることは、人の部屋に、ましてや女性の部屋に入りときは必ずノックをするべきだということ。
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