One Night Loveにはさせない

初めての高校の同窓会。成人式以来だから、3年ぶり?4年ぶりか。あの頃ふざけあった友達とか、付き合っていた元彼とか、話したことはないけど見たことある人。みんなどんな風に大人になったのだろう。やけにそわそわしてしまって、いつもの仕事とは違ってメイクも服も気合いが入ってしまう。

「「かんっぱーい!!」」

乾杯をしてからすぐにわいわいと盛り上がる居酒屋。あそこに務めてるんだ、えっもう結婚して子供いるの?、まだ彼女できねーのかよ、なんて話やあの頃はなんて思い出話に花が咲く。

「やっほー、るりちゃん!」
「…や、やっほー、えっと…」

そんな中私に明るく話してきた人物に戸惑う。赤いパーカーを来た彼は、確か六つ子だった。

「俺長男のおそ松」
「あ、ああごめんね」
「あーいいよいいよ、みんな大体間違うしね」

そうなのだ、正直見分けがつかない。そもそも見分けがつく以前に私達は話したことがない。六つ子の存在は有名だったから誰でも彼らのことは分かるけれど、私も含め同学年の皆は誰が誰だとか分からなかったと思う。というか、何故私に話しかけてきたんだろう。まるで仲の良かった友人みたいに。

「いやー、るりちゃん、綺麗になったよね。いや、学生ん時もすげー可愛かったけどさ!」
「……私の事知ってたの?」
「そりゃあ勿論!」

彼の言葉を聴いて少し心が締め付けられた。罪悪感で。私は「六つ子」としか見ていなかったし記憶になかった。だけど彼らは皆をちゃんと見ていたんだなと感じたから。

「そっか、ありがと」

素直に気持ちを伝えた数秒後、私の罪悪感やら気持ちを返して欲しいと後悔した。

「るりちゃん、この後ホテル行こうよ」

小声で言うでもなく、サラッと普通の会話のように言うものだから私が硬直したのは勿論近くにいた周りの人達もぎょっと振り返った。

「松野くん、最低」
「やだなー、おそ松って呼んでよ」
「もう酔っ払ってるんですか」

会話になっていないやり取りに呆れる。そういえば学生の時もやたらと学校にエロ本持ち込んだりしていたっけ。この歳になってもデリカシーというものを学習してこなかったんだなこいつ。

「酔っ払ってないって!素面だよ、素面で言ってんの」
「だとしたら余計タチ悪いです」

いい大人がそんなんでどうするの!と喝を入れると彼は一言「えー、そんな母親みたいなこと言わないでよ」と口を尖らせた。いや誰だって言うだろう。
話を聴くと驚いた。何と彼は学校に行っているわけでもなければ正社員でもフリーターでもないと。ニート…しかも兄弟全員だ。思わず松野家の両親に同情してしまった。

「いやいや、そんな適当で働いてもない何の努力もしてない人に何言われたって落とされないよ」
「それはどうかなー?俺の童貞、ほしくない?」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや、結構です」

そんなやり取りをしていたら、
「お前ら仲いいなー、長年連れ添ってる夫婦みたいだぞ」
「そんなに仲良かったっけ?」

しまった、彼はおちゃらけていて話しやすいからつい馴染んでしまった。松野くんというと何故かドヤ顔で「だろー?」なんて言ってるし。今日初めて会話したくせに。
気が付けば同窓会も時間になり、明日仕事で帰る人や二次会はどうするかと盛り上がっている人で様々だ。私はどうしようか、明日は休みだけど…。仲のいい人が行くなら行こうかな。そう考えていたらお店の端で蹲っている松野おそ松を見つけた。

「どうしたの」
「ちょっと飲みすぎた」
「ええ、もう…大丈夫?」
「るりちゃんと話してんの楽しくて」
「言い訳に使うな」

二次会に行くメンバーに名前を呼ばれ、どうするかと聞かれ返答に困る。行くなら行こうかと思っていたけど、大分辛そうな彼をこのまま置いていくのは心配だ。

「るりちゃん、ほんと優しいね」
「そうでしょう、そうでしょう」

私の肩に彼の腕をまわして駅方面へと歩いている。結局二次会へは行かないことにした。少し、彼といるのが楽しいと思っていることに気が付いていた。居心地がいいなんて、ちょっと認めたくないけど。

「うう、ちょっと待った…」

しんどそうに再び立ち止まり蹲った。

「歩けそうにない?」
「んー……しんどい、かも。ちょっと休んでいきたい…」
「え」

休んでいくって、休むって、ここしかない…よね。私たちの周りには何店舗もラブと名のつくホテルが並んでいる。これはまずい状況では?お持ち帰り、またの名をワンナイトラブ…。いやでも結構しんどそうだ。彼を疑っているのが申し訳なくなり、よしっと再び彼を立ち上がらせ近くのホテルへ入った。

ラブホテルに入ったのは初めてだった。勝手にイメージしていたピンクのいやらしい部屋かと思えば、普通にお洒落なホテルのように思えた。少し興味もあって当たりを見渡すけど、やっぱりラブホテル。コスプレ衣装やエッチな下着、シャワールームもガラス張りだった。

「るりちゃーんっ!」
「ぐわっ!?」

いきなり後ろから抱きつかれ思わず可愛げの無い声を出してしまった。さっきまで死にそうにしていたのに…!もしかして…!

「た、体調は?」
「治った」
「嘘ついてたんでしょ……」
「ええ?ひどい!でもでも、俺とここに来たってことはるりちゃんもOKってことでしょ?」
「違います!!!わたしは…っちょっ、!」

強引にベッドへ押し倒された。私から見える視界は、にやついた松野おそ松と綺麗な天井。これはいけない流れになってしまう…!

「だっ、だめ!だめだめ!」
「そんな照れなくても」
「だめなの…っ!」
「なんで?もう俺たち、オトナだよ」

そういうんじゃない、と否定しようとしていたのに。私の唇は彼の唇が重なっていた。ちゅっ、と音を立てて。そして段々と角度を変えて深く。

「…っ、」
「うわ…うわ、やばい、かわいい」
「興奮すんな…っ」
「るりちゃんだって、してるくせに」

にやりとした顔にドキッとしてしまったのが心底悔しい。

「もっかい、したい」
「…ダメって言ってもするくせに」
「それってOKってことじゃん」

んちゅ、ちゅ、とドキドキするキス。彼がにゅるんと舌を入れてきて私の咥内を犯していく。たっぷりと味わい尽くすように。
私の首筋に顔を埋めるとすーはー、と深呼吸をした。

「なに?」
「んー、いい匂い」

いちいち恥ずかしいことを言うのはやめてほしい。どんな反応していいか照れ臭くて困ってしまう。そんな私を見て彼はまた「かわいい」と笑った。
ぷちぷちと淡い色のワンピースのボタンを外すと、ピンク色の下着がお目見えしてしまった。ブラジャーをずらすと乳首にしゃぶりついた。そして太腿をさわさわと焦れったく触られる。

「ふっ…んん」

太腿から徐々に下着へ移動していき、その布の中心部をぐりぐりと弄られる。そんな風にしないで、私が私じゃないみたい。下着の隙間からなかへ指を滑り込ませると、そこは湿っていた。もう恥ずかしくて死にそうだ。

「おー、濡れてる。気持ちいい?」
「そんな…っ、こと聞かないでよ…」
「でももっとぐちゃぐちゃにしたい」

指を二本に増やすと、初めは少し窮屈だったのがだんだん解れてきているのが自分で分かった。そして奥を掻き回される度に身体がおかしくなっていく。

「やっ、あっああ…っ!ナカ…ッ、」
「うわあ、すっごい音」
「ばかぁッ…!」

ぐちゅんっ、と激しい水音を繰り返す。口は開きっぱなしでそこからどうしても声が出てしまう。どれくらいしていたのだろうか、恥ずかしさと気持ちよさでよく分からない。下半身がドクンドクンと脈をうっているみたいだ。

「えっろ」
「はぁ…ッ、」
「このるりちゃんのエッチな穴に、入れるよ」
「うわ、エロ親父みたい」
「うるせっ」
「ひいっん!?」

ギンギンに反り硬くなった彼のモノが私のそこへズブッと挿入された。私の方も驚いたということもあって締まってしまったのだろう、入れた彼の方も「くぅ…ッ!」と耐えているようだった。

「どう…?俺の童貞もらった気分は?」
「ばっかじゃないの…!」
「そうかそうかー、嬉しいかぁ照れるなぁ」

じゃあ頑張らないとね、と訳の分からん解釈を勝手にして腰を打ち付けた。これじゃ反論も出来ない。

「ひゃっ…!あっん!」
「気持ちいい?俺も最高に気持ちいい」
「気持ちよくなんかぁ…ッ!あんっ、んッ、あっ!!」
「素直になっちゃえって」
「童貞クソニートの嘘つきのくせに…ッ」
「もう童貞じゃないもーん」

それに、嘘じゃないし。と後から呟いた彼の言葉の意味は分からない。変わらずぱんぱんと腰を打ち付ける元気はまだまだあるようだ。

「おっぱいぶるんぶるんでエロいし、るりちゃんのおまんこ俺のちんこと相性いいみたいだし、ほんと最高だよ」
「んあっ、そんなぁ…ッんぅ…!」


私はオナホールでもなければAV女優でもない。そんなセフレ相手に言うような台詞、聴きたくないのに。彼の言葉やセックスに実際興奮してしまって感じているのも事実だった。

「うっあー、そろそろイきそう…!イきたくねー、けどイきてぇ…ッ!」
「んやぁ…!これッ、これ以上激しくしちゃ…っ!」
「あっ、そんなにキツくしめられたら…ッもたない…!」
「らって…きちゃうぅ…ッ!!気持ちいいの…っ!」
「るりちゃんのおまんこ気持ちよすぎ…っ、俺の精液搾り取ろうとしてぎゅうぎゅうに締め付けてる…!」
「んやああ…っ!あっ、ああ…っん!」
「あーっ、出る…っ!!」
「あああっん!!」



やってしまった…。冷静になり、反省をしている。はあーっと大きく溜息を吐くと後ろからぎゅっと抱きしめられた。後ろを振り向…こうとしたけどやめた。

「服着てよもう!」
「えー?さっきまであんなに激しいセックスしてたのにー?なんなら俺、もう一ラウンドいけるよ」
「……あのねえ、わたしたち」

ドサッとまたベッドに押し倒された。ここに来た時と同じ景色だ。一つ違うのは、彼がにんまりしておらず真顔だということ。

「酒の勢いとかじゃないよ」
「…えっ?」
「覚えてる?俺酔っ払う前にるりちゃん口説いてた
の」

そういえば乾杯して直ぐに話しかけられたっけ。彼はそのまま言葉を続けた。

「かわいいとか、口説いてたのも全部ほんと。嘘じゃない」
「………」
「まあ、こんなんだから信じろって方が…」
「信じても、いいよ」
「えっ」
「楽しかったから、おそ松くんといるの」
「えっいいの?!」

ふふっ、とお互い吹き出して「なんだそれ」とおそ松くんが笑った。あ、でも優しさに漬け込んで嘘ついて手篭めにされたのはなんか気に食わないけど。それでもまあ、今となってはいいか、こんな始まりでも。
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