きっ、嫌いです!


気が付いたのは、多分中学の頃。自分の胸が大きいっていうことに。常に男子からの視線を浴びて、すれ違う度小さくても聴こえる。

「おい見ろよ、でかいよな」

そんなことばかり。体育の授業は最悪。水泳は勿論、体操服は目立つから嫌いだった。バスケやバレーなどの激しい運動も、短距離などの陸上競技も注目されてしまう。恥ずかしくて、その度にこの自分の胸を恨んだ。誰と話していても相手は自分の目を見てくれない。いつもわたしの顔の下にある二つの膨らみを見ているから。友達には羨ましがられるけど、所詮はみんなないものねだりで自分がコンプレックスだと知ると「なんて贅沢な悩みなんだ」としか言われない。中学から高校に上がり、嫌だと思っている気持ちに反比例するかのようにわたしの胸は更に成長を遂げた。


「おい、ホルスタイン」


それを、このデリカシーの欠片もない男「松野一松」は遠慮も配慮もなくわたしの最大のコンプレックスをついてきた。影では言われていたかもしれないけど、こんな堂々と面と向かって言われたのは初めてだ。

「わ、わたし一松くんなんか…きっ、嫌いです!」
「ああ?」
「ひいっ!」

元々目付きの悪い一松くんは更に目を吊り上げて睨んできた。こ、怖い…。わたし何も悪いことしてないのに…!
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