恋と変は似ている


初めて好きになった人は、同じクラスの優等生。授業中にだけ眼鏡をかけて、話し方はとても優しい紳士的な王子様。次に好きになった人は、正反対のような人。初恋の人の弟。同じ顔なのに目つきは悪いし笑わない。セクハラはしてくるし何を考えているのか分からない。何故こんな人を好きになってしまったのか、今でも分からない。でもきっと、好きになるのに理由なんてない。それこそ、恋をしたというより恋に「落ちて」しまったんだと思う。

今日、私たちは晴れて恋人となった。体育館裏というまるで少女漫画のような場所で。帰り道、手を繋いで帰るだけで、ドキドキと胸が高鳴る。一松くんはいつもと変わらない様子だけど、少し顔が赤いような気がする。

「一松くんは…私のどこを好きになってくれたの?」
「おっぱい」
「……」

こんなの、少女漫画じゃ絶対にない台詞だ。そりゃそうか、これは甘い少女漫画なんかじゃないのだから。

「嘘」
「えっ」
「顔」
「…………」

そりゃあおっぱいよりは嬉しいけど…けど…それでもやっぱり見た目でしかないという事に変わりはなく、再び肩を落とす。

「…嘘、じゃないけど」
「……」
「おっぱいも顔も好きなのに変わりないけど。ていうか、最初は本当におっぱいしか見てなかったし…でもかわ…いいとことか…素直なとことか…一生懸命なとことか…ちゃ、ちゃんと、好きだし」
「………」

一松くんがしどろもどろになりながらも一生懸命気持ちを伝えようとしてくれている。私のことちゃんと見ていてくれてるんだということが嬉しくて、繋いでいた手にぎゅっと力を込めた。私、一松くんのこういうところが好きだなぁ。

「あ、あと」

言い忘れたのか、感動している私の耳元に寄ってくると

「感じやすいところ」

とにやにやしながら囁いた。わざと低くした声に全身の鳥肌がぞくっと立つ感覚がした。

「…なっ、ばっ、ばかっ!一松くんのばかっ!変態!」


やっぱり私が恋に落ちた相手は間違っているのだろうか?こんな変態でも惚れた弱味なのか、隣でにやりと笑う顔にもドキドキしてしまう。
ああ、こんな人を好きになってしまうなんて、恋ってよく分からない。
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