好きっ、なんです!!


「大丈夫?百瀬さん、こいつに何されたの?」

チョロ松兄さんが柔らかい声色で心配そうにるりに駆け寄る。るりは事情を言える訳もなく、ただ「えっあ、いや」とかそんな言葉にならないものを零している。

「おい、謝ったのかよお前」

責め立てるように俺を睨む。ああやっぱり思った通りの展開だ。何だよこれ、こいつめんどくせえ…そんな顔が表情に出てしまっていたらしく、チョロ松兄さんは「…何だその態度」と聴いたこともないくらいの低い声で俺の胸元のシャツを乱暴に掴んだ。珍しくチョロ松兄さんが本気で怒っているようだった。それを見たるりは慌てて立ち上がりチョロ松兄さんの腕を掴んだ。

「あっ、あの…!違うのチョロ松くん!!」
「何でこいつ庇うの、百瀬さん!」

数秒言葉を詰まらせたるりはぐっと唇を少し噛むと「いっ…い、一松くんがっ、すっすすす、好きっ、なんです!!」と顔を真っ赤にして叫んだ。それには俺も、未だに僕の胸倉を掴んだままのチョロ松兄さんも同時に息や瞬きや動きや、最早時間が止まったんじゃないかって思うくらい固まってしまった。
そして数秒後、漸く時が動き出したかのようにチョロ松兄さんの口から「…はっ?」と一言が発された。

自分の耳を疑った。誰が、誰を、好きだって?るりが…俺を…?そんな、まさか。だってこいつは、こいつが好きなのは目の前の俺の兄貴で、俺はこいつに無理矢理性行為をして…それで、好き?友達とか、ペットとしてとかじゃなく…異性として?
夢か、夢なのか?誰か俺をぶん殴ってほしい。
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