どうかしてるよ


私の目からは涙がぽろぽろと溢れて、止まることを知らない。一松くんの驚いた顔が真っ直ぐに見れなくなって下を向くと、両頬に伝わっていく涙が床に落ちていった。ゆっくりと階段の上にいる一松くんが降りてくる足音が聞こえて、その場にしゃがみ込んだ。こんな顔、見られたくない。

「ねえ、」
「ずるいよ、一松くんは」
「………」

震える声で一松くんの言葉を遮った。今、一松くんはどんな顔しているんだろう。どんなこと思っているんだろう。面倒くせえな、何だこいつ、そんな風に思われてるのかな。それでも、溢れ出した感情は止まらなくて言葉になっていく。

「初めは脅しておいて、私の体散々好き勝手に使って、それで何、飽きたからもういらないってこと?私の、気持ちも知らないくせに…、責任、とってよ…私、どうかしてるんだよ、おかしくなっちゃったんだよ…」

途中鼻を啜りながら、ぽつりぽつりと出てくる言葉の数々を一松くんはただ黙って聞いていた。

「…私、ほんと、どうかしてるよ…」

私にはもう一松くんしか見えない。心臓がきゅうって苦しくなる。一松くんに触れたくて、触れられたくて苦しい。

私、一松くんが好きなんだ。
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