黒い感情
大人気ないことをしたな、と思う。勿論まだ未成年な俺は大人ではないんだけど。
チョロ松兄さんと話するりを見てふつふつとどす黒い感情が溢れ出してきた。るりがチョロ松兄さんを好きだということはあの日から分かっていた筈なのに。チョロ松兄さんと話するりは緊張した様子だった。そりゃそうか、好きな相手だもんな。俺に対してとはまるで違う。当たり前だけど。俺を見るあいつの目は、やっぱり怯えていて笑顔なんか見せてくれたことはない。
チョロ松兄さんよりもあいつを知っているのに、一番大切なところでは勝てない。そんな嫉妬心が、不器用で口の悪い俺を余計に醜くさせた。
「もう、変なことしないから」
「良かったね、もう脅されないですむよ」
けどもうこれでいいんだ、初めから叶うわけない恋だったんだから。少しでもあいつに触れられて良かったじゃん、そう言い聞かせる。
それなのに、俺の中に生まれたこの黒い塊のような感情は消えることはなかった。
本当身勝手だ。散々脅して、無理矢理性の捌け口にして。結果突き放して。
何やってんだよ俺。