突然何を言いだすかと思ったら「つくしがみたい」だと。

頼むから馬鹿な事を言うのはやめてほしい。 まず時期を考えろよ、時期を。
いいか、つくしっていうのは春の植物なんだ。辺り一面は真っ白だろ。つくしのつの字もありゃしねーよ。わかったのか。




いきなりつくしを探せと言われ、今に至る。
外の空気は泣きたくなるほど冷たく、耳が腐りそうだ。


「役に立たないわね、あんた」


小鳥遊はそう言うと、小さな鉄棒に腰を掛けた。
心底寂しそうな、情けねぇ面をして。


「その小さい脳ミソでよく考えろよ。今つくしが生えるのか生えないのか」

「こんなクソ寒い時期に生えるわけないでしょ」


「…あ? てめぇマジで、」


「口実よ、口実」



マジで馬鹿な女、と言おうとしたがとりあえずやめておいた。

口実なんてつくしじゃなくてもよかっただろ。



「少しでもあんたと一緒にいたいっていう乙女心よ」

「…はっ、可愛くねーの」



こんな可愛くない女の為に、つくしが沢山生えるベストスポットを懸命に思いだそうとする俺も十分馬鹿だな。









積もってやがて溶けて




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