はぁ、と息を吐けば目の前は真っ白になる。
冷たい空気が身体中にめぐり、肺が少しだけ痛くなった。もう冬なんだね。
つい最近までは、早く寒くならないかななんて思ってたけど、今は早く暑くなってほしいと思うばかりだ。
隣にいる円堂くんも、吐く息は全部真っ白。
巻いてるマフラーに顔を少しだけ埋めて、目をぱちぱちと開いたり閉じたりしている。
その光景がなんだか可愛くて、面白くて。
「今日は寒いな」
「うん、寒いね」
「秋は、冬、好きか?」
「うん、好きだよ」
冬は、綺麗だもの。
「そっか」
そう言って、円堂くんの大きな手が私の頬に触れた。
ほら、頬が赤くなれば優しく撫でてくれるでしょ?
「秋の頬っぺた、真っ赤だな」
「円堂くんだって鼻の頭真っ赤よ」
こうして私も、好きな人に触ることができから。
だから冬は好きなの、とっても。
見つめ合ったまま、時間が止まったような、そんな気がした。
少しくらい自惚れてもいいのかなぁ。
ほっぺと鼻の頭