「アメリカの月は綺麗やね」
リカはうっとりとした表情で空を見上げた。
冬の冷たい空気が肌に刺さる。
「ジャパンの月は綺麗じゃないのか?」
どこから見ても、月は月だろうに。リカの目には一体どう映っているのだろうか。
「日本の月も綺麗やで。ほんまに綺麗。 でもココで見る月は、なんていうかロマンチックや」
「ふーん」
正直、今の俺には月なんてどうでもいい。
もしこの場で、君に俺の想いを伝えられたら、どれだけ心が軽くなるのだろう。
「冷えるから、そろそろ中に入ろうか」
リカが名残惜しそうに「お月さん、おやすみな」と呟くのを聞いて、俺も月だったらと、ぼんやりそう思った。
俺はいつからこんなに格好悪くなったんだ。
「マーク、鼻の頭真っ赤やで」
リカは笑いながら、俺の鼻を撫でた。
月は燃えているか