マークは先程と全く同じ姿勢で、ただ床を見つめている。

最近はずっとこの調子。


床を見つめているか、
ベッドに横たわり、壁を見つめているかの2パターンだ。


マークがどうしてこうなってしまったのか、そんなの今更言ったところで仕様がないから言わないけど。




「ねぇ、マーク」

「マークってば」



「…ディランは、悔しく、ないのか…」



久々に聞いたマークの声はカスカスしていて、水気がなかった。

コークでも飲むかい?と聞こうとしたけど、なんとなくコークなんかじゃ駄目な気がしたんだ。



「…ミーだって悔しいさ。
結局、敗けは敗けだからね。だけどミー達は全力でプレイした。カズヤがいて、アスカがいて…、マークがいて。他のメンバー全員もきっと楽しかったと思うよ。
この結果を次に活かせば良いだけの話じゃないのかい? ミーはジャパンとの試合、とっても楽しかったけどな」



本当はミーだって凄く悔しいし、出来る事ならマークと一緒にぼんやり床を見つめていたいさ。
だけど、ジャパンとの試合が楽しかったのは本当だから、逆に清々しいのかもしれない。



「…ディラン」


「ミー達がこんなんじゃ、カズヤは安心して手術ができないよ。
ジャパンのあの娘連れてお見舞いに行こう! ほら、なんだっけ、えーっと」

「アキ?」

「そう!アキ、アキ。
アキを連れていったらきっとカズヤ驚くだろうね」

「まぁ野郎だけで見舞いにいっても、カズヤは楽しくないだろうからな」

「ミーはともかく、問題はアスカとマークだよ」




オーバーにおどけながら言えば、久々にマークのくしゃっとした笑顔が見れた。



「ハハ、よく言うよ。
この前隣のクラスの子に振られてたくせに」










ミーはね、
マークが笑ってくれればそれでいいんだ。













ミーはね、








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