※成人済み設定














玄関の戸を開ければ、ヤニの臭いが鼻をついた。

まじ勘弁。たまんねぇ。




「お前吸う時は窓開けろよ」


水垢と砂ぼこりがこびりついた窓を開けたら、サッシの溝の隅で蛾が死んでいた。


「ちょっと、せっかく冷房入れてんだから冷気逃がさないでよ。 閉めろ」

「まじでくせーんだって」


汚い灰皿の中を見れば、まちまちな長さの吸殻が可哀想な具合にもみくちゃになっている。


俺がコンビニに行っているほんの僅かな間で一体何本吸ったのか。

コイツの吸い方は最近異常だ。



「ねぇ、早く窓閉めてくんない?」

「出掛けるぞ」

「は?」


小鳥遊は心底嫌そうな顔をして眉を寄せた。

普段外に出ないせいか、不健康なくらいに真っ白な肌が眼に余る。


「だからたまには出掛けるって言ってんだよ。 テメーの好きな場所付き合ってやるから」

「パチ」

「ふざけんな、却下」

「好きな場所付き合ってくれんじゃないの? 馬鹿、禿げ、禿げ、」


このクソアマ、二回も言いやがった。 しかもハゲてねーし。


パチ行ったらお前吸うだろ、いいから付いてこい。
と一息で言い切り、とりあえず病気になりそうなこの部屋から出る。

夕方といえども外は蒸し暑くて、なんとなく舌打ちをした。
ドアに貼られている「悪徳セールスお断り」というシールを見つめた後、ボロい階段を下りる。

小鳥遊が歩くたびに、ミュールがカツカツいってうるせー。





街中に出れば、さっきまでノリ気じゃなかった小鳥遊の足取りが、少しだけ軽くなっている事に気が付いた。







「この白線から出たら死ぬわよ」

「馬鹿、ひかれるぞ」



不意に掴んだ小鳥遊の手が予想外に温かかったので、俺は柄にもなく安心してしまった。



白線から出たら死ぬわよって、お前左足出てたからな。











黒いとこは歩いたら駄目よ





























×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -