うち、痩せなあかんねん。
それから数時間後、あたしは発言主と共に夜道を散歩することになる。
「ほら塔子、しっかり歩き!
だらだら歩いてても肉は落ちへんで!」
上下ジャージに身を包み、豹柄のタオルで顔の汗を拭くリカは、なんだか老けて見えた。
「なんであたしも付き合わなきゃいけないんだよ」
「アンタ!
こんなに悩んでる友達を放っておく気なん!?」
「悩んでるようには見えなかったけどな」
こんな感じで、もう30分は歩いただろうか。
途中からリカの一之瀬病が発病してたまったもんじゃない。
「うちはダーリンの為に可愛くなりたいんや」
「それ6回目」
一回、リカ視点で一之瀬を見てみたい。
そんな事を考えていたら、先程まで隣にいたリカが2、3歩程後ろにいるのに気が付いた。
「リカ」
「…塔子、ちょっと休まへん? うちめっちゃ疲れた」
「は!? 何言ってんだよ!
まだ1時間も歩いてないだろ? 」
なにわのギャルストライカーが聞いて呆れるよ。
泣き言を言うリカに一喝すると、そんなん今は関係ない。だって。
疲れてても口数だけは減らないんだもんなー。
しょうがなくあたしはリカに手を差し伸べた。
リカはにっこり笑って、あたしの手を取る。
「アンタ手冷たいなあ」
あたしの手をリカはきゅっと握り締めた。
リカって、可愛くていいな。
こんな事言ったら調子にのるから内緒だけど。
散歩と豹柄と冷え性