サッカーをやめようと思う。
この前ね、うちの店に手相を見れるっていう人が来たんだ。
俺がその人のとこに料理を持っていったら、手相を見てくれた。
その人が言うには、俺には芸術の線があるんだって。
誕生日からも、芸術の星が見えるらしい。
だから俺、サッカーやめて画家になろうと思うんだ。
いや、音楽家のほうがいいなあ…。
それとも小説家か。
そういえば、この前雑誌の占いページで「あなたのようなタイプは板前になる人が多い」みたいな事書いてあったんだけど。
やっぱ俺、画家とか小説家よりも板前のほうが向いてるのかもしれない。
皆に美味しいって食べてもらいたいから、板前になろっかな。
うん、そうしよう。
「どう思います? 冬花さん」
「うーん…。芸術家も板前さんも素敵だと思うけど、私はサッカーをしている虎丸くんが一番格好良いと思うな」
それに、結局は板前さんもサッカーも芸術って呼べるんじゃないかな。
冬花さんは笑いながらそう言った。
そっか。
冬花さんがそう言うなら、芸術家も板前もやめた。
やっぱりサッカー選手になろう。
キャッチフレーズは
「芸術的エースストライカー、宇都宮虎丸!」
ちょっとださいかな。
「どう思います? 冬花さん」
「いいと思うよ」
よし、じゃあ決まり。
単純だよそりゃ小学生だし