雷門は、割りと気が短い方だと思う。
原因はよくわからないが、今も機嫌が悪そうにぶそっとソファに座っている。
多分俺が、雷門の気に障るような事をしたのであろう。 いつもこのパターンなのだが、俺は何をしたのかさっぱりわからないのだ。
男からしてみれば、雷門のような性格を"面倒くさい"と思う奴は多いだろう。
しかし、俺はこんな状況にも関わらず雷門が可愛いと思ってしまう。
我ながら不謹慎だ。
「雷門、何を怒っているんだ」
そろそろ日付がかわる頃だ。
いい加減に雷門の機嫌を治さなければ。
「あなたね! 自分のした事が分かっていないの!?」
「すまない、心当たりがないんだ」
これは俺の正直な答え。
変に嘘を吐いたところで、目の前の彼女の機嫌は悪くなる一方だ。
心当たりがないという言葉が引き金となり、雷門は今まで我慢してきたものを吐き出すかのように、俺に対する今日の不満を言い始めた。
俺は黙って聞く事に集中する。
…あぁ、夕食前のあの事で怒っていたのか。
ようやく理解した俺は、雷門の隣へと移動する。
「悪かった」
「悪かったって…、反省しているの? あなたいつもそうじゃない」
少しだけこの状況が億劫になり、まだ怒りが静まらない雷門を無理矢理抱き締めた。
「っ、ちょっと…!」
「本当に悪いと思っている。 俺は、お前が怒っていると寂しくなるんだ」
「…豪、炎寺くん、」
ようやく大人しくなった雷門の頬に手を添えると、潤んだ瞳をそらされた。
そっぽを向いた雷門が、もう今日みたいな事はやめてちょうだい。と小さな声で呟く。
俺は承諾の意味も込めて、キスをした。
「もう遅いから、そろそろ寝よう」
雷門は黙って頷き、ゆるゆると俺の首に手を回す。
喧嘩しても一緒に眠る