※塔子も帝国学園の生徒設定
帝国学園の勉強は難しい。
特に数学なんて、頭が爆発してしまうのではないか、と自分で自分の心配をするくらい。
あたしはこんなにも苦戦しているのに、隣を見れば涼しげな顔ですらすらと問題を解いていく鬼道の姿があった。
…むかつく。
「なんだ、塔子。 さっきから全く進んでいないじゃないか」
白紙といっていいほど綺麗なノートを見ながら鬼道は言った。 意地悪く笑うオプション付きだ。
コイツ、本当にむかつく。
ふつふつと怒りが込み上げてきたが、仮にも授業中なのでここはあたしが大人になろうと思う。
拷問な数学の授業が終わり、休み時間。
鬼道はあたしの方を見て思いついたかのように、
「数学を教えてやる」
と偉そうに言った。
*
「違う、さっき教えただろう。 ここには8を掛けるんだ」
最後の授業が終了したあと、鬼道の部活が終わるのを待ち、今に至る。
言わずと知れた鬼道の家で、優しい優しい鬼道センセイに数学を教わっている訳なのだが。
あたしは30分前と全く同じ問題に頭を抱えていた。
「うーん…、で? この8掛けてどうすんの?」
「はぁ…。 ここに代入する。…一体お前は来週のテストどうするつもりなんだ」
「どうするつもりって…、分かんないもんはどうしようもないだろ」
鬼道はまた一つ大きな溜息を吐いた。
溜息吐くと幸せが逃げるぞーとシャーペンで突けば、誰のせいだ。と髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
少しだけどきっとして、何か変な感じ。
「…ねぇ鬼道、今日の練習格好よかったよ」
「そんな事言っても勉強はやめないぞ」
「ちぇー。
でもね、格好よかったのは本当。今度あたしにも指笛教えてよ!」
思わず机から体を乗り出せば、鬼道は少し鬱陶しそうに、わかったわかったと苦笑いをした。
「来週のテストで平均以上いったらな」
鬼道はあたしを椅子に座らせながら言う。
もちろん意地悪く笑うオプション付きで。