カップ麺は3分。


中学校、高等学校は3年間。


社会人になったのならば、とにかく3年間は仕事を頑張れと言われる人が多いらしい。




3は何かと切りが良いと言う。

カップ麺に関しては、3分というのが一番人が快適に待っていられる時間だとか、一番食べやすい温度になるとか麺の堅さになるとか言うのを聞いたことがある。
本当かどうかは知らないが。





俺は、3分という時間をこんなに長く感じた事は今までにない。

時計の針を見ると、実際まだ3分もたっていない。

2分10秒を回ったくらいだ。 今12秒を過ぎた。




「ねぇ、鬼道。どうしたんだよ」


まったく意味が解らないといった様子で塔子は首を傾げた。




察しろよ。
この状況を。



俺は塔子と向かい合わせに座り、彼女の肩に手を置いている状態だ。

お互いの距離はかなり縮まっている。




この状態から先に進めず、俺はただカチカチと規則正しく刻む秒針の音を聞いているだけだった。


心臓のリズムは秒針の倍くらいの速さな訳で。



ちらりと時計を見れば先程から40秒進んで、この状態に陥ってから2分52秒がたっていた。




53

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58

59



「鬼、ど」








奥手な自分と葛藤していた時間は永遠に感じたが、
肝心なキスはたった1秒だなんて。






(先程の事が夢に思えてきた)







3分








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