【回想】
コドウ01『良いか、今回の潜入は二手に分かれて実行する。先ずは、チユ、コウタロウの第一チームにはしんがりを務めて貰う。第二グループは、月光、如月、そしてこの俺の構成で行く。セーラとソウマは待機組だ。…異存はねえか?』
セーラ『ええ、異存ございませんわ』
コウタロウ01『ええ、僕も異存ありません』
チユ01『イエース!ねえねえ、コウ兄、チーム名とか決める?おやつっていくらまでOK?』
ソウマ01『チユ、遠足じゃないんだよ。いつもの事だから、異存も何も無いよ。』
如月01『…月光…』
月光01『…ええ』
月光02『私達は、今夜…敵の本拠地に、突入する』
ME:作品を象徴するテーマ
如月03『月光玲華【ゲッコウレイカ】第三話、《突撃と邂逅の相瀬【アイセ】》』 【タイトルコール】
SE:作業音?(がちゃがちゃ)
月光04「……」
如月02「……」
月光05「…はあ【溜息】ねえ、如月…」
如月03「ん!?なななんだい、月光ちゃん!!」
月光06「(声、裏返ってるし)私、もうそんなに怒ってないから。…無駄に変な気を遣わなくてもいいわよ」
如月04「そ、そうか!!いや〜…流石のオレもずっと月光と口を聞かないわけにもいかないからさ!どうしようかな〜って内心焦ってたわけよ!表には出さなかったけどな!無い頭で考えてた!タハハ」
月光07「(無い頭って…)あー…聞くの忘れてたけど、如月って私の父さんと母さんを知ってるのよね。どういう関係なの?」
如月05「ありぇ?言って無かったっけ?オレ、孤児なんだよ。自分の出自とかわかんねーし、気が付いたら、瓦礫の山で明日生きるか死ぬかの生存競争【サバイバル】してた。
そんな時だな、お前の父さんと母さん、隼翔【はやと】さんと揚羽【あげは】さんに出逢ったのは。」
【回想】
SE:喧噪【町の中?】
如月06『その頃のオレは、今とは違ってなんの為に生きてるのかっていう自覚なんてこれっぽっちも抱かずに、ただ日々を生き抜く為、明日の飯の為に、人生の目標なんてモノも掲げずに、ただ“がむしゃら”に無茶苦茶に生きてた。いや、生きてたって表現も合わないかもな。あれは、“生き急いでた”だけだ。あれは、ただの獣の生き方だ。…え?そういう生き方も良いじゃない?って。ハハ、言うじゃないの。でも、断言出来るね。』
如月07『オレは、お前の親に会えてなかったら、…きっと、1年と経たずに死んでたよ。
…だから、ある意味ラッキーだったのかもな。あの二人に出逢えたのは…』
SE:足音
揚羽01『…?隼翔?どうしたんだ。…孤児か…』
隼翔01『…まだ、息してる。』
揚羽02『……おい、隼翔、お前また…【呆れ気味で】』
隼翔02『ごめんっ!揚羽!!でも、“助けられる命”を見捨てる訳にはいかないんだ。それも、自分の目の前なら尚更、』
SE:持ち上げる音
揚羽03『…何も、ダメだとは言っていないだろう。まあ、お前は言い出したことをなかなか曲げない奴だからな』
隼翔03『揚羽!!【感激したように】流石、ボクのマイスウィートハニーだよ!!』
SE:抱き着く
揚羽04『っ!!だ、誰がお前のマイスウィートハニーだ!!褒めてないんだぞ!ええい!いいからひっつくな!!』
SE:蹴り飛ばす
月光08「ふふふ、父さんと母さんは昔も変わらなかったのね…」
如月08「そうそう、あの二人はずっと変わらなかったよ。だからこそ、オレはあの人たちの背中を追いたいって思ったんだろうな…」
隼翔04『さてはて自己紹介が終わったとこで、君の名前は?』
如月09『・・・・・』
隼翔05『え、えーと…。あ、もしかし言葉通じない!?ええええ、今までの水の泡!?えーと、それなら紙とペンを…あ、でも文字も書けなかったら…。ううううううん!!なら、最終手段でジェスチャーだ!!』
揚羽05『お前は、少し落ち着け。いきなりこんな場所に連れてこられて反応が鈍るのも分かる。暫くは、質問攻めは…』
隼翔06『あ、んじゃあなんか心が落ち着くように飲み物でも…。それか、演奏する?ボク、ギター出来るんだ!』
SE:殴る(スリッパ?)
揚羽06『お前は人の話を少し聞けぇぇぇぇぇぇ!!』
隼翔07『ぶふぉ!!?揚羽の愛の鞭がぁぁぁぁ!!』
SE:倒れる
如月10『…っふ、ふふ』
隼翔08『!笑った?』
如月11『!あ…』
隼翔09『良かった!漸く笑ってくれて。ずっと目が覚めてから、黙って足元見てただけだったからね!心配してたんだよ!!あ、言葉分かる?』
如月12『…ああ、分かる』
揚羽07『気分はどうだ?あのお前が倒れてた日から一週間寝たきりだったんだ。それで、目が覚めたら、覚めたで黙ったきりだったからな。どこか、身体がおかしい所があったらすぐに言えよ』
隼翔10『揚羽はね、医者なんだ。どんな病気や怪我もたちどころに治してしまう。だから、どこか不調があったらすぐ言うんだよ』
如月13『大丈夫、です。えと、…助けて貰ってありがとう。ございます。この礼は、』
隼翔11『いいよいいよ!お礼なんて!ボクが勝手に助けただけなんだから!気にしないで』
揚羽08『本当にな。お人よしもほどほどにしろと言っているのに。全然聞こうとしないんだ、この男は』
隼翔12『はははー【苦笑】ま、そんなに年も変わらないみたいだし、敬語も無しで!ね』
如月14『!…おう』
揚羽09『で、だ。唐突で悪いがお前の名前を教えて貰おうか。我々も一応軍の人間なのだ。助けた人間の登録確認をしなければならない』
隼翔13『もうー、揚羽はすぐに仕事モードに入っちゃうなんだから。御免ね!彼女、本当にそういうとこ真面目だから』
揚羽10『…お前が、ゆる過ぎなのだ。もっと、気を引き締めんか。軍曹ともあろうものが…』
如月15『…、あんたたち、軍の人間なのか』
隼翔14『そ、一応オレは軍曹ね。揚羽も、軍医だけど階級は准尉だよ。市民の安全と平和と秩序を重んじる、軍人さんでー』
【遮るように】
如月16『そんなモノいないね。』
揚羽11『なんだと…?』
如月17『この国に本当の意味での“市民の安全と平和”を守ってくれる存在なんてない。それは、あんたらだってよく分かってんじゃねえのか』
隼翔15『それは…』
揚羽12『貴様!我ら軍人を愚弄しているのか!!その発言の次第によっては、我らの指導者、偉大なる君主様を乏しめるモノと見なし、』
如月18『その“君主”様がオレらの暮らしに恵みをもたらしてくれるってのかよ。アイツは、オレたちを苦しめはするが、救いなんて与えて貰ったことなんぞ一度もねえぞ』
揚羽13『っ、貴様ぁぁぁぁぁ!!』
SE:手を掴む
隼翔16『やめろ、揚羽。一市民の言葉に耳を傾けるのも、ボクらの仕事だ。それに、彼の言い分は…』
揚羽14『し、しかし!!こいつは、我らの偉大なる指導者を愚弄して挙句は、』
隼翔17『橘樹 揚羽【タチバナ・アゲハ】准尉。これは、軍曹としての“忠告”だ。少し頭を冷やしたまえ』
揚羽15『っ、』
SE:扉を閉める
隼翔18『…ごめんね。まあ、特に珍しくはないんだけど、彼女も軍内では1、2を争う程の信教者、なんだ。』
如月19『…あんたは、違うってのか』
隼翔19『…ボクは、ね。少し“あの存在”に疑問に思う節があってね。ま、こんなこと思ってるなんて知られたら、即打ち首、だろうけどね』
【後半は、茶化すように】
如月20『……はっ、なにが“君主”様だ。大昔は、世界を作っただのなんだの言われたらしいが、今のアイツはただこの世界の支配者を気取ってその上で貧困に苦しむ奴らから甘い蜜を吸ってる、厄病神だ』
隼翔20『ひゅー♪言うねえー。今のもし聞かれてたら即君殺されてるよ。
あ、ちゃんと此処は防音してるし、勿論ボクも記録なんて録ってなんてしてないし、大丈夫だよ』
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