月光 | ナノ





ME:オルゴール音

SE:風が吹く音


月光01『この“セカイ”には、一億万年に月夜の晩に一度きりしか咲かない花があるという』

SE:歩く音(山道)

月光02「っ、はぁ、はぁ……【息切れ】」

月光03『そして、その花を見つけた者には……、幸福が訪れるとも……』


SE:立ち止まる

ME:止まる


月光04『………っ、父さん……、母さん………、私は……あなた達を恨むわ………この、“名”と共に………』
【悲しみを堪えるように、泣きそうになりながら】

SE:膝をつく

SE:風の吹き抜ける音


ME:作品を象徴するようなテーマ


月光05『月光玲華【ゲッコウレイカ】第一話、《ハジマリの鈴音【スズオト】》』
【タイトルコール】

SE:鈴の音

ME:消えていく



SE:チャイムの音

SE:騒音(学校内)

SE:足音

生徒A01「ごきげんよう」

生徒B01「ごきげんよう」

SE:足音(響く)

SE:騒がしくなる(ザワザワと)

生徒A02「あ………、結城さん……ごきげんよう……」

SE:静かになる

月光06「………ごきげんよう」


SE:立ち去る

SE:再び騒がしくなる(ザワザワと)

生徒B02「嗚呼、今日も素敵ね、“氷華の姫君”」

生徒A03「わ、私お声かけして頂けたわ!!」

生徒C01「羨ましいわね!あの、近寄りがたいクールな雰囲気がまた麗しいわ」

【飛び交う声をバックに】


月光07『……はぁ、くだらない……。何が、“氷華の姫君”なのかしら……。こんなに毎日大勢で騒がないでほしいわ……』

SE:髪が風に揺れる

SE:鈴の音


如月01「みーつけた、……俺たちの“オヒメサマ”♪」
【影に隠れながら】



SE:物を書く音

先生01「そこで、新世界と呼ばれる世界に我らが“元首”様が君臨なされ、そして、」

SE:チョークで書く音

月光08『……くだらない授業、くだらない他人、退屈に繰り返す日常……こんな惰性した日々に一体何の意味があるのかしら』

月光09「………本当に、退屈……」


SE:髪を触る

SE:椅子から勢いよく立ち上がる

先生02「?結城、どうした?」

月光10「あ、え……えっと、具合が悪いので、保健室に行っても良いですか?」

SE:ざわつく雰囲気

先生03「そうか、一人で行けるか?」

月光11「はい、大丈夫です。」


SE:歩く音

SE:ドアを閉める音



SE:早足で歩く音


月光12『………なんで、…………どうして、髪飾りが、ないの?一体、どこに………』

SE:長閑な雰囲気(鳥のさえずり等)

SE:歩く音(中庭)

月光13「………、ここにも………はあ、(馬鹿みたい……別にあんなの無くたって、私は………)」


SE:土を踏みしめる音(ジャリ)


如月02「お探しモノはこれかい?お嬢ーさん♪」

SE:鈴の音

SE:振り向く

月光14「え………(この人、一体どこから………、)あ、……はい。……ありが……」

【受け取ろうとするが、上にあげられる】

SE:鈴の音


月光15「………なんなんですか。【ムッとしたように】」

如月03「ふふん?いーや、ちょいとお兄さんとお話しないかい可愛いお嬢さん♪」

月光16「…は?(……何なのこの人………ナンパ?)………そもそも、アナタ、ここの関係者じゃないですよね。警備員、呼びますよ」

SE:後ずさりするように


如月04「……あらら、警戒されちったなあ〜。あまりの嬉しさにちょっと軽はずみに声かけ過ぎたかなあ。へへっ、こんなんだからコドウの奴にも説教されんだよなあ……いけねーいけねー」
【後半は、独り言のように】

月光17『…………本当に、なんなのこの人………、やっぱり、警備員……呼んだ方が良いのかしら………』


SE:後ずさりするように(じりじりと)


如月05「……んあ?あ、ちょ、待ってよ!!








“結城 月光”ちゃん」



SE:振り向く


月光18「な、なんで…………、(私の、名前を知って………)」

如月06「ほら、“これ”大切なモノなんだろ?」

SE:鈴の音


月光19「べ……別に、そんなモノなんか………それより!私が聞きたいのは、なんでアナタが私の名前を知ってるのかって……」

【遮るように】

如月07「なんで?なんでかって?………カッカッカッ!……オレがお嬢さんの素敵な素敵な名前を付けたからだよ。」

月光20「……は?な、何?それって……」


SE:電子音(携帯の音)


如月08「ん?あらら、……もう時間切れかあ。んじゃ、ま……続きは、場所と時間変えてしようぜ」

SE:歩き出す

月光21「ま、待って!!まだ、アナタには聞きたいことが……」


如月09「急かさない、急かさない。急がば回れ、って言うだろ?夜に、“シーサイド国立公園”で待ってる。………あ、これは一応保険代わりに預かっておくよ★」

SE:鈴の音

月光22「……あ、ちょ、ちょっと!!」

如月10「じゃねー♪」


SE:立ち去る


月光23「……………なんなのよ。」


SE:長閑な雰囲気(鳥のさえずり等)




SE:ベッドに座り込む


月光24「……はあ、(ああは、言われたものの……あんな怪しい人にほいほいついていけるほど不用心じゃないわよ、私)………」

SE:髪を触る

月光25「………はあ、(………そうか、今は無いんだったわ………。ついつい癖で………)………嫌になるわ」


SE:ベッドに倒れ込む

月光26「………まるで、………まだ、振り切れてないみたいじゃない………」



【回想】


ME:オルゴール音


月光(幼少期)01『お母さん、……これ、なあに?』

母01『これか?これはな……、うちの家に古くから代々伝わる髪飾りなんだ』

月光(幼少期)02『髪飾り?』

母02『そうだ。……月光が、もっと大きくなったらこの髪飾りをあげような』

月光(幼少期)03『本当?約束だよ!!』


母03『ふふ、ああ。約束だ』

月光(幼少期)/母04『指切りげんまん、うそついたら針千本のーます。指切った』
【針千本の歌を歌う】

SE:鈴の音

ME:消えていく


月光27「……………約束、なんて……。」

SE:拳を握り締める

SE:ベッドから立ち上がる






SE:船の汽笛の音

SE:土を踏みしめる音(ジャリ)

如月11「ふー、【煙草を吹く】良かった良かった、来てくれなかったらどうしようかと思ったよ。月光ちゃん♪」

月光28「………別に。………それに、軽々しく名前で呼ばないで。……嫌いなの、……自分の名前」

如月12「おうおう、悲しいねえ。その素敵な名前を付けたのは、オレだっていうのに」


月光29「……そのことなんだけど……」


如月13「ちょ、ちょ、ちょーい待った。そう急ぐなって、ほら、まだこれ返してないしよ【SE:ポケットを探る】……ほら、大事なモノ、なんだろ?」

SE:鈴の音


月光30「…………大したモノじゃないわ、………こんなの」

SE:握り締める音


如月14「…へへっ、“大したモノじゃない”モノにそんな顔はしないもんだぜ?」

月光31「っ、そ、そんなことより、私はアナタに聞きたいことがたくさんあるのよ。早く答えてちょうだい」

如月15「はいはーいっと、全く、オヒメサマは強引だなあ。ま、こんなとこでもアレだし。実際来てもらった方が良い、かな」

SE:歩き出そうとする

月光32「?どこに行くっていうのよ」

如月16「ふふん、オレ達の“秘密基地”さ。そこなら、第三者に聞かれることもないしな。」

月光33「……此処じゃ、ダメなの?」

如月17「ああ、此処は“世界一”安心ならねえ場所だよ。文字通り、ね」


月光34「……………【納得いかないように】………、分かったわ。アナタの言う“秘密基地”に案内してちょうだい」

SE:土を踏みしめる音(ジャリ)

如月18「へーい、………てかさ、いい加減その“アナタ”って他人行儀なの止めない?」

月光35「………アナタと私、他人なんだけど………。それに、私アナタの名前、知らないわ」


如月19「あらら、言ってなかったっけ?……ま、いいや。オレは、如月。よろしくな♪…………………なあ、月光………お前に、………“セカイ”の裏側を見せてやるよ」
【前半は、茶化して。後半は、真剣に】


SE:風が舞う音

ME:作品を象徴するようなテーマ

月光36『思えば、これが私と如月のハジマリ………そして、全ての物語の…………終わりへの前兆だった。』

月光37「…………セカイの……裏側?」

月光38『私は、愚かにもそのことに気づいては、いなかったのだけれど………』


SE:鈴の音

ME:消えていく



【少し離れた場所で】


SE:土を踏みしめる音(ジャリ)

秘書01「………はい、こちら私です。………はい、接触したようです。………引き続き、監視を続けますか?………了解しました。………“お嬢様”」


SE:電子音(携帯)を切る音

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