夢路





たまに夢を見る
人ごみの中で必死に探すあたしの姿と
だんだんその人ごみに埋もれていく彼の姿を
…かすんだ世界を夢見てしまう。



「どした?」

「…え?」

「目、濡れてるけど」


きれいな指が私の目に触れる。
冷たい感覚がして泣いていたんだと感じる


「…ごめんな」


彼は私の涙を拭きとると
困った顔をして笑う
大丈夫、あやまらないでって言えたらいいのに
いつもなぜか言えないまま


「まさ…おみ…」


視線が安心する
私だけを見てるその視線


「大丈夫だ。もう、どこにもいかないからな」


ぎゅっと抱き合って体温を確かめる
それでやっと私は幸せな夢に旅に出かける



夢路
(…もう離さねえ)
(彼の言葉がそっと夢で輝く)
(ああ、ずっと夢の世界で)
(私だけを愛されていたい)





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