明日も明後日も




最低な男だ。と言われたら
笑えるくらい何も言い返せない。
ひとり電車に乗ってふっと鼻で笑った。






俺は黄巾賊に戻りそして沙樹とこの池袋を去った。
でも、池袋を去ったことは帝にも杏里にも伝えてない。
ただ伝えたのはこんな俺に好意を寄せてくれた
くるみただひとりだった。

伝えたとき、彼女は瞳にあふれる涙をこらえながら
笑って俺の背中を押した。


『…じゃあ、バイバイ正臣くん』


いつまでたってもその言葉が頭から離れなかった。
くるみの笑顔も声もすべてがまだ体に染みついていて。


『あ!またナンパなんかしてる…』

『私は正臣くんよりこのゲーム勝つ自信あるよっ!』

『おいしそうなお昼ご飯だね!』


何をするにも彼女を考えてしまう。
沙樹が一番大切なはずなのに…


「…はあ〜らしくねえな」


ひとりぽつんと溜息をついた。
今までの俺はこんな俺じゃなかったはずだ。


「もういいんだよ、正臣」


フェンスを握ってた手が離れた。


「沙樹…何が?」

「もう私なんかに縛られなくていい。」



嗚呼、そっか沙樹は見透かしていたんだ。
俺の気持ちもすべて、ぜんぶ。


「正臣、行ってらっしゃい。」


俺は沙樹に悪い、と頭を下げて駅に走っていた。
こんな男最低だ。きっと沙樹は俺のこと嫌いになっただろう。
くるみも彼女を捨ててきた。なんて伝えたら
俺のこと大嫌いになってしまうのだろうか。
それとも受け入れてくれるのだろうか。




明日も明後日も
(俺はくるみを追いかける)
(笑顔がみたいから)




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