夜チャンネルをパラパラと見ていたらアメリカの風景に目が止まった。
そして様々な思いでを思い出しながら無意識に携帯を見た。
くるみからの連絡は俺がアメリカを立った後途絶えてしまった。
くるみのことが大好きだった。
始めてみたとき俺はくるみのすべてに目が言った。
可愛いだけじゃない、話をしてみるととても誠実で清らかで同い年とは思えないほどの大人びたあいつ。


「…ったくメールくらいよこせよ」


映っているアメリカの映像を消してそのまま深い眠りについた。




―――…


携帯のバイブで目が覚めた。

「…まだ3時じゃねえかよ…」


時計を見やるともう一度布団にもぐるがバイブは止まることをしれなかった。
ついにブーブーとうなるバイブにいらだちを感じ、通話ボタンを押した。


『…もしもし?』


その声は澄んだ声をしている今まで音信不通だったくるみで俺は驚いて言葉も出ない。
しかも今夜中の3時だ一体何の用だろう。
俺は深呼吸をして携帯を握る力を強めた。
そして、今までと変わらない態度で接しようと決めた。


「どした?」


俺が今までの態度と変わらないことに驚いたのか今度はくるみが声を詰まらせる。


「こんな夜遅くになんかあったのか?」


『ほんと、大我は優しいなあ』


眠気を忘れて少しやわらかめの声で言うとくるみは少し鼻声で笑う。


『ねえ、大我…今から家出てこれる?』


「は?なんで?」


そう聞き返すと同時にはっと頭が働いた。
俺はベットから降りると窓のカーテンを開いてみる。
するとそこにはくるみが立ってカーテンを開いた俺に手を振っている。


「大我ー!会いに来ちゃった!」


その声を聞いた瞬間俺は部屋を飛び出て階段を駆け下りきれいに整頓されているスリッパに足を通した。
そして玄関を開くとアメリカを飛び立ったあの日より少し髪が伸びたくるみが泣いて立っている。


「バカくるみ」


くるみのおでこにデコピンをして俺はもう離れないようにくるみを力いっぱい抱きしめた。


「…大好きだよ大我」

「…俺も」



短い時間だったけどくるみと他愛もない会話を楽しんだ。
誠凛のことそしてバスケをまだ続けていること。
くるみは俺がバスケを続けているとは思っていなかったらしくまだ続けていると伝えると嬉しそうに笑っていた。




敵いそうにない
(おまえの笑顔と声には)
(いくら怒っていたって)
(怒れやしないんだ)




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