ストレス発散用具なんて他にもたくさんいるのだろう
私はぐしゃぐしゃになってベットの上でそう思った
隣で聞こえてくる規則正しい寝息を聞くとより一層そう感じる


「青峰のばーか」

私は綺麗な寝顔にそう吐き捨てるとだるい身体を起こそうと
起き上がろうとしたが、何かに引っ張られて身体を起こすことはかなわなかった。


「…どこいくんだよ」


引っ張られたのは彼の手。
私よりバカみたいに大きくてあったかい手。
そして低い声が私の耳に響く


「帰るんだよ」


…私はきっとストレス発散用具
そうって分かってるからあえて何も言わない


「帰んなよ」


ああ、そんなこと言われたら期待してしまう。
素直になって"好きだよ"って言えたらいいのに。
何番目でもいいから、ねえ、
気づいてよ…


「…おい、なんで泣くんだ?」


気づいたら私は泣いていたらしい。
ほんとう、情けない。


「な、なんでも…ない」


彼は慣れた手つきで私の瞳に浮かんでいる
しずくを指先でそうっと掬う


「…ほんとくるみ意味わかんね」


彼はそう言っていつもとは似つかわしくない
笑顔を浮かべると私に唇を重ねてきた。


「…んっ」


私が必死に抵抗しても彼は離してくれない。
寧ろ今までより強く強引に押しつける。
もう窒息しそうと思ったころに、
やっと唇が離れる。


「…お前しか、俺にはいらねえんだよ」


そして、消えるような声で私の耳元に熱を残した。




ずるいよ
(まさか言われるなんて)
(思ってもみなかった)










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