久しぶりの背中を見つけて
嬉しくて足が自然にスピードを上げる。

「大我ーっ!」

大きく手をあげて名前を呼ぶと、
彼はあの頃と変わらない笑顔で
私を手招きする

「よお‥久しぶりだなくるみ」

一年ぶりくらいに聞く彼の声は
ひどく心地よい

「日本は?どう?楽しい?」

「まあな。」

でかいキャリーケースを彼が
掴んで引っ張る。
アメリカにいた頃もこんなこと
あったなって感傷に浸ってみたり。

「バスケは?」

「まだやってるよ」

その言葉に安心した。
本場のバスケから離れて、彼は
日本のバスケに対して消極的だったから。

「そっか。そりゃあよかった。」

ちょっとだけ微笑むとごつごつの
手で私の頭をわしゃわしゃと撫でる

「髪の毛ぼさぼさになるじゃん」

また笑うと、彼はあの頃と同じ
笑顔でまた笑う

「‥なんか、戻ったみたいだな。俺ら。」

「ほんとに。懐かしいね〜付き合ってた時が。」

ほんの一年だったけど、実は私は
彼の彼女だった。
別れたのは遠距離ゆえの自然消滅
 
「‥懐かしいな」

彼は私の前を歩き振り向かずに
小さく呟いた
私は気づかれないように
静かに泣いてしまった



期待しちゃうよ
(その優しいところに)
(その最後の言葉に)


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