「先輩! 死にたくない、死にたくない、こんな場所で! 何者にもなれないまま、終わりたくない! 先輩、先輩、ふぶきせんぱあいい……」
 突如、泣き付いてきた雪村の頭をあやすように撫でてやった。子守唄の一つでも歌えれば、完璧だったのになあと吹雪はくだらない事を考えていた。
「雪村、君はまだ、色々な可能性を秘めているというのに、どうしてそんなにも悲観的なんだろうねえ」
「違う、違う! アンタはどうして分からないんだ。いや、アンタは気付かなかったのかもしれない。この土地に産まれた時点で、もうすでに、格差が出来ているんだ、条件が、なにもかもが、ちがう」
「そうか、そうなのかなあ」
 ――――だとすると、アツヤは、こんな場所で、終わってしまったのか。父さんも、母さんも、こんな場所。僕は、どこで終わるのだろう。――――
「君は、君自身がこの地を改革するだとか、そういう考えはないのかな」
「俺が、俺一人が動いたところで」
「そうだよね。君一人、というより、君じゃあ、駄目だよね」







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