・私→南沢思考の夢小説っぽいもの。







第一回〜リコーダーは真夏の誘惑〜


 放課後にこっそり、M子は三年生の教室に忍び込む。目的はただ一つであった。M子は南沢の机を見付けるとフックに掛けられたままの細い、長方形の袋を取り上げた。
 その袋の中には、そう、南沢のリコーダーが、入っているのだった。
 M子はファスナーを引っ張るとリコーダーをそっと引き抜きその先端を舐めようとした。
 その瞬間だった!
 ガラリと教室の扉が開いた。
 M子は動揺した。しかしながら南沢のリコーダーはしっかりと握り締めたままである。
 扉を開けたのは、なんと、神童だった……!
「俺だって、俺だって南沢さんのリコーダーを舐めたいのに……っ」
 神童は泣いていた。けれど、M子も譲る気は無かった。
 かくして、M子は神童と間接キスをかけた戦いを繰り広げるのであった……


第二回〜魅惑の膚はジャージの奥に〜


 M子は部室のサロンに忍び込むとソファーで眠る南沢を発見する。M子は、ダメ、ダメだわっと自分に言い聞かせながらも手を止める事が出来ず、荒い呼吸のまま南沢のジャージを脱がし始める。
 ジャージのファスナーを最後まで下ろせば黄色いユニフォームと南沢の首筋が露になった。
 M子がユニフォームを捲り上げるように下から手を入れようとすると……
 後頭部を思いきり何者かによって打撃された。M子は気を失いそうになったがそれでも南沢のユニフォームは掴んだままだった。
 後ろを振り向くと、なんと、そこにいたのは倉間だった。
「俺だって、俺だって南沢さんと色々したい!! つうか帰れよ痴女!!」
 またしても邪魔が入ってしまった。
 けれど、今度こそM子も譲れないのである。
 かくして、南沢篤志の触診を巡る戦いが始まるのであった……


第三回〜美少年と野獣の結末〜


 M子は月山国光まで来ていた。
 南沢が転校をしてしまうだなんて実に予想外で有ったが、M子にとって然したる問題ではない。
 M子は木陰からグラウンドをじっくりと見詰める。そこには、南沢とゴリラのような男が仲睦まじく話をしている様子が窺える。
 ゴリラの名前は兵頭と言って月山国光のゴールキーパーである。本当の事を言えば、そこまでゴリラではない。けれど、M子には分かる。もしこの男がゲームのポリゴンになった場合、絶対にゴリラになる……と。
 それはさておき、M子は気付いた事が有る。
 月山国光に来てから、南沢の表情がとても柔らかくなったのだ。
 そして、二人を見ていると、なんとなあくなのだけれど、最後に南沢先輩とくっつくのはこの男なのかしら、という、予感めいたものを感じるのだ。
 性別だとか、そういうものを抜いて、兵頭は純粋に南沢篤志という人間を愛しているように思う。
 告白をすると、M子は神童を応援していた。しかしながら、神童と南沢には未来を見出だせなかったのだ。(まあね、少女漫画を読んで、私がくっついて欲しいって思った組合せは大概くっつかないし)
 M子はコートのポケットからスマートフォンを取り出すと、とあるウェブサイトを開いた。
[イナズマイレブンGO! 二期はなんと、パラレルワールド!?]
 画面にはそんな具合の文章が踊っていた。
 南沢の立ち位置も変わってくるかもしれないなあと思った。
 遠くで二人がまた、サッカーの練習を再開した。
 M子は、南沢が楽しそうならばそれで良いと思いながら、南沢のロッカーを漁りに行く事にした。




2012/03/13




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