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▼ *忘れてしまえ/鶴丸国永

*生々しい。



「ふぁ…あ……っ!?」


突然の強い刺激と圧迫感に涙を溢しながら、彼女は目の前の男の胸に倒れ込む。

完全とはいかないながらもほぼ裸に近い彼女の今の格好は、鶴丸曰く『とてもそそる』のだそうだ。


純潔の証とも言われる薄い膜は彼に容赦なく裂かれ、今では血の混じった白い液が秘所から流れ出ている有様である。

『痛い、痛い』と泣く瑠音を余所に、彼はどこかうっとりとしたようにそれを見ていた。


…この短時間の間に幾度も繰り返される性行為に、意味はあるのだろうか。


今自分を抱いているのは、彼女が恋い慕う刀剣男士…薬研藤四郎ではない。

熱に浮かされた頭を懸命に働かせ、なぜ彼がこんなひどい事をするのかを考えてみるものの、からきし駄目だった。


少々頭を上げれば、とろりとした蜂蜜色の瞳がこちらを見下ろしている。


『鶴丸』

そう呟いたつもりだったのに、自分の口からは掠れた吐息が漏れるばかり。

物言えぬ幼子のようにはくはくと口を動かす彼女を、彼は蕩けきった表情…恍惚と言った方が正しいような顔で満足そうに眺めた。


ああ、そんな顔をしないで。
お願いだから、そんな目で私を見ないで…!

あまりの恥ずかしさに、しゃくり上げながら顔を背けると、すぐさま鶴丸の手がその動きを追い掛けて彼女の頬に触れる。


「なあ、主…薬研にはもうその顔を見せたのか?」


耳元でそっと、心の深いところを抉るような酷い質問をされ、今度こそ発狂しそうになった。

口を開け、泣き叫びそうになったタイミングを逃すことなく、彼は乱暴に彼女の首筋に噛みつく。


甘噛みとは程遠く、洒落にならないほどの痛みに気が遠くなりそうで、また涙が溢れた。



***



「あ…!い、嫌…、やだ……!」


侵入してくる指の違和感に耐えきれず、『嫌』を繰り返してみても無駄だった。
抵抗も空しく、彼の指は秘所の奥を傍若無人に荒らしていく。

今日が初夜とは言え、何度もされて体が慣れてきたせいか、その動きを“気持ちいい”と思ってしまう自分が堪らなく恥ずかしい。

それだけでなく、脳裏には先程奥に与えられた痛烈な痛みが何度でも蘇り、それに対する恐れのためか、無意識のうちに腰を引いてしまう。
しかしながら、それすら見越していると言わんばかりに彼はいつもと何一つ変わらない笑みを浮かべて瑠音の腰をガッチリと押さえつける。


「あんまり動くともっと痛いぜ?何せ、主のココはキツいからな…。」


そんなの、当然だ。

ひどい屈辱と恐れを感じながら、彼女はギリ…と唇を噛み締める。


大体、薬研と瑠音は付き合ってもいない。

薬研に対する想いは自分の一方的な物であって、まだそれを彼に伝えてもいないのだ。
当然、彼とは接吻もしていないし、こんなふうに情交を交わしたりもしていないのに…。


別の男に寝取られるなんてあんまりだ。

出来る事ならば、今夜の行為は無かった事にして、もう放っておいて欲しい。
それか、もう消えてしまいたい。


ぼんやりと考えていると、今度はもっと奥の方までぐちゅりと指が入る。


「おいおい、随分と余裕だな…俺とのはそんなに退屈かい?」


「ち、違っ………、」


「じゃあ何だ?」


不機嫌そうに呟き、鶴丸は自らのいきり立ちを思い切り泥濘んだ中へと突き立ててきた。


「ひぁあっ…!?」


待って、止めてと言う前に、耳にはぐちゃぐちゃと粘着質でたまらなく卑猥な音が届くばかり。

これじゃ、さっきとまるきり同じだ。


「やだ、やだ…怖い……薬研、助けて………!!」


他の男に抱かれているというのに、自分の慕う男の名ばかり呼んで泣く女に痺れを切らし、鶴丸は『あいつの事は忘れろ』とだけ何度も教える。

それでも思い人を忘れる事が出来ない彼女は、また腹の奥底に欲を吐き出され、力無く白い鶴の懐に倒れ込んだ。



end

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